artscapeレビュー
精華大学卒業・修了制作展
2014年03月15日号
会期:2014/02/19~2014/02/23
京都市美術館[京都府]
精華大学の卒業・修了制作展。芸術学部とデザイン学部の学生作品が展示された京都市美術館・本館は全体的にこちらもプロダクトコミュニケーションデザインやインテリアプロダクトデザインコースなど、デザイン学部の制作のほうが活発な印象があったのだが、陶芸や版画、テキスタイルの分野などでも秀逸なものが見られた。個人的に気に入ったのは映像コース・仲村美穂の映像インスタレーション《おいしい死に方》。食べるという行為、食う食われるという食物連鎖、命のループをテーマにしているというと、よくありそうだが、テーブルに設置された皿にメニューと同じ料理がルーレットのように映し出されるそれは、「食材」と「贖罪」の言葉をかけた作家の意図やイメージもよく表わしていた。別館で開催されていた大学院生の制作展で良かったのは、プロダクトデザインコース・蕭 聖學(Sheng-Hsueh Hsiao)の《「台湾と日本における暮らしのなかにみられる紙造形と生活文化」紙加工のデザインに関する研究──オリジオ》。身近な「紙」に注目した研究テーマと造形物、それを通した二つの国の文化の考察も興味深く、新たな研究の展開にも期待したいものであった。別館で開催された大学院生修了制作展は総じて、見応えを感じるものだったが、本館から少し離れているせいか私の周囲ではこの展示を見逃した人も多かったのが残念だ。
2014/02/23(日)(酒井千穂)