artscapeレビュー

スノーピアサー

2014年03月15日号

ポン・ジュノ監督の映画『スノーピアサー』を見る。凍りついた世界で、一年で地球を一周するノアの箱舟としての走り続ける列車が舞台だ。徹底した動く閉鎖空間である。フランスのバンド・デシネを原作とし、それと通じる独特の美意識が全編を貫く。SFとしてはツッコミどころ満載だが、各車両がさまざまなビルディングタイプとなり、直列につながった線状都市をひたすら前に進むのは映画的に面白い。スーパースタジオのディストピア、12の理想都市を思い出す。最近、DVDで『ザ・スパイダースのゴー・ゴー・向こう見ず作戦』(1967)を見たのだが、これもただ一直線に前に前に歩いて進むというとんでもなくバカバカしい単純な設定だが、それが社会に巻き起こす騒動が意外に興味深い。

2014/02/17(月)(五十嵐太郎)

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