artscapeレビュー

Unknown Nature

2014年09月15日号

会期:2014/08/22~2014/09/03

AYUMI GALLERY/ Underground/ 早稲田スコットホールギャラリー[東京都]

カトウチカのキュレーションで、Unknown Seriesとして毎年開催されてきたグループ展も、今年で第5回目を迎える。今回は神楽坂、早稲田の3つのギャラリーを舞台として、「Unknown Nature」展が開催された。出品作家はAYUMI GALLERYの「Recombination 組み換え」のパートに小山穂太郎、鷹野隆大、大西伸明、進藤環、岡田和枝、西原尚、Undergroundの「Creature イキモノ」のパートに松本力、秦雅則、町野三佐紀、栗山斉、渡辺望、青木真莉子、渡邉ひろ子、早稲田スコットホールギャラリーの「Myth 神話」のパートに豊嶋康子、船木美佳、原游、小島章義、小泉圭理である。
「大きく変わりつつある「自然」の姿、その概念、私達との関係に目を向ける」という展覧会のコンセプトがやや抽象的で曖昧であり、三つのパートの相互関係もうまく絡み合っているようには思えない。出品作品も、絵画、写真、インスタレーション、映像、サウンド等、かなり幅が広い。だが逆に、いま日本の現代美術のコアの部分がどのようにうごめいているかという断面図が、くっきりとあらわれてきているのが興味深かった。写真作品を出品しているのは、鷹野、進藤、秦、青木の4人だが、それらはまったく他の作品と違和感なく、展示空間に溶け込んでいる。1990年代以降、写真と現代美術の境界線の消失がずっと指摘されてきたのだが、はからずも、それがむしろ「普通」の状態になっていることが証明されているともいえる。今後は青木真莉子の写真、インスタレーション、映像の融合の試みのように、各ジャンルの混淆を前提として作品のクオリティが問い直されてくるのではないだろうか。

2014/08/25(月)(飯沢耕太郎)

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