artscapeレビュー
画廊からの発言──新世代への視点2014
2014年09月15日号
会期:2014/07/21~2014/08/02
ギャラリーなつか+コバヤシ画廊+ギャラリイK+ギャラリー現+ギャルリー東京ユマニテ+藍画廊+なびす画廊+ギャラリーQ+ギャラリー58+ギャルリーSOL+gallery21yo-j+ギャラリー川船[東京都]
真夏の炎天下、銀座・京橋の画廊を見て歩く。自由が丘のギャラリー21yo-jを含め、全12画廊のうち10画廊が女性作家に占められている。作品は版画や水墨画も含めて絵画が過半数を占めるが、よしあしは別にして“正統的なペインティング”といえるのは、コバヤシ画廊の朝倉優佳の具象的抽象画(いや抽象的具象画?)か。よくあるといえばよくある絵なのだが、けっこう大胆に、でもしっかり緻密に塗りたくられた画面は、まさにペインティングの醍醐味にあふれている。藍画廊の立原真理子は絵画と呼べるかどうか微妙だが、アルミサッシの網戸に糸で刺繍し風景を立ち上げている。網戸だから向こうが透けて見えるため、何点かは壁掛けではなく天井から吊っている。サッシを額縁に見立てれば、窓と絵画のアナロジーは明らかだ。東京ユマニテの佐竹真紀子は布や木にさまざまな色の絵具を塗り重ね、表面を削って色の層を見せている。技法としては珍しくないけれど、支持体が棺桶や神棚や引出しなど強い象徴性を持つものばかり。これが身近な人の死に触発されて制作したものだと聞いたとたん、地下2階のホワイトキューブのこのギャラリーが霊安室に見えてきた。ゾーン。以下省略。
2014/08/01(金)(村田真)