2019年07月15日号
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artscapeレビュー

吉川直哉 展 ファミリーアルバム

2014年11月01日号

会期:2014/10/07~2014/10/19

ギャラリーアーティスロング[京都府]

写真家・吉川直哉の4年ぶりの個展。彼は2001年から「写真とは何か」というコンセプトで作品を発表しており、本展は2010年に行なわれた個展の続編となる。前回は写真史上の名作を複写やアニメ化したが、今回のテーマは「家族写真」。実家に残っていた古い家族アルバムから選んだ写真をマクロレンズで複写し、歪んだ画像として提示した。ご存知のように写真業界ではデジタルが主流になり、アナログの銀塩写真はノスタルジーの対象かマニアの愛玩物になりつつある。吉川はそうした現状をただ嘆くのではなく、さりとて無闇に肯定するのでもない。家族アルバムとの対話を通して、写真とはかけがえのない記憶が物質化したものであり、写真が存在することで時空を超えた対話が可能になるということを訴えたかったのではないか。もちろんそれは写真の本質の一部に過ぎず、切り口次第でまた新たな解答が紡ぎ出されるのであろう。いずれにせよ、ひとりの写真家が真摯な態度で写真に向き合った本展は、見る者それぞれに「写真とは何か」を考えさせる機会であった。

2014/10/09(木)(小吹隆文)

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