2021年09月15日号
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artscapeレビュー

ダンス企画おやつテーブルvol.5『板間の間』

2009年12月01日号

会期:2009/11/06~2009/11/08

ルーサイト・ギャラリー[東京都]

おやつテーブルは、ダンス・演劇ライターでもあるまえだまなみを主宰に、岡田智代、おださちこ、木村美那子が行なってきた、サイトスペシフィックな、つまり踊る場所を丁寧に設定することで、そこからでしか生まれないダンスを作品に仕立てようとする企画。世代の異なる女たちが集まれば、滲み出てくるのは女の日常、そこで普段感じている思い、そこで自然に差し出している振る舞い。今回は若い赤木はるかが参加して、一層、世代のバラエティが豊かになった。会場は、昭和を代表する芸者歌手が暮らした板間。戸を開け放つと、隅田川を挟んだ都会の見事な景色。二つのギャップを行き来する、懐かしくちょっと間の抜けた丈のスカートとベスト姿の女たち。言葉にしにくいちょっとした瞬間が魅力的。なかでも、おだが小さな箱から何十個ものリボンを一つひとつ取り出しては床に広げてゆく、その手や指の振る舞いや、転がるリボンテープが、なんとも美しかった。なにを美しいと感じ、なにになりたいと思い、なんだと思われて生きてきたか、そうしたこれまでの生の来歴がおだの佇まいから読みとれ、それがダンスになっている。さりげないけれどもありふれたものではない。おだのパフォーマンスを見る度にぼくは強い感動を覚えてしまう。また、前回公演では妊婦姿で踊った木村が今回は赤ちゃんと踊った。信頼して母を見つめる赤ちゃんのやわらかな眼差しが印象に残った。

2009/11/06(金)(木村覚)

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