2021年10月15日号
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artscapeレビュー

快快のGORILLA(フェスティバル/トーキョー関連イベント)

2009年12月01日号

会期:2009/11/13~2009/12/18

F/Tステーション[東京都]

フェスティバル/トーキョーならば、もっと取り上げるべき作品があるのかもしれないけれど、快快が「ゴリラの着ぐるみを着た役者を催眠術にかけてゴリラにする」というアイデアを聞いて、ワクワクして詰めかけた。演劇における役者と演出家の関係は、被支配と支配の関係、コントロールされる/する関係。それが極端になった先にあるのが被験者と催眠術師の関係? ゲストに招いた催眠術師の川上たけしが登場すると、1分後には着ぐるみのゴリラはゴリラと化し、前に坐っていたお客たち(大学生くらいの女3人)は、次々と催眠状態にさせられた。川上が「クリームみたいな味に変わっています」なんて言うと、女の子は大口を開けて大量のチューブわさびを受け入れる。「全然辛くない」とぽつり。観客の一人としてハイバイの岩井秀人は「尾崎豊にしてください、でも抵抗します」と願い出て川上と対面するが、一向にかからなかった。これ演劇の企画? ただのパーティ? これを彼ららしい遊び心とみなして一笑するのも悪くないと思う。けれども「演劇」という概念の拡張を画策している気もするのだ(川上の「催眠術ショー」になってしまったのは残念で、ぜひ川上の催眠術を用いた演出で短くても作品を上演して欲しかった)。そもそも、着ぐるみを見ていると本物と錯覚してしまうなんてことは一種の催眠だし、舞台を見ていて役柄に感情移入してしまうのもある意味で催眠だ。12月11日には、ゴリラの着ぐるみを着たメンバーたちが、岡田利規演出のもと『三月の5日間』を上演するのだそう。岡田と催眠術師を横並びにしてイベントを進めてしまう彼らのスケールは、やっぱりちょっと尋常ではない。

2009/11/27(金)(木村覚)

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