2019年10月15日号
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artscapeレビュー

映画『テンペスト』

2011年08月01日号

会期:2011/06/11

テアトル梅田ほか[大阪府]

ウィリアム・シェイクスピアの最後の戯曲といわれる『テンペスト』。筆者が記憶するだけでも二回映画化されている。デレク・ジャーマン監督の『テンペスト』(1979)とピーター・グリーナウェイ監督の『プロスペローの本』(1991)。上記の二作は、監督の知名度もあって話題になったもので、映画化された作品はもっとあるはずだ。文学作品の映画化はそれほど珍しいことでもないが、400年も前の作品が繰り返し映画化されるにはそれなりの理由があるだろう。ジュリー・テイモアがメガホンをとった、今回の『テンペスト』は、主人公のプロスペロー(ヘレン・ミレン扮)を女性に変えたこと以外、粗筋から台詞に至るまで原作(原文)に忠実である。シェイクスピア戯曲独特の台詞を(現代人にとっては冗長かもしれない)、観客は延々と聞かされる。もちろんそこには言葉の美しさや、時代を超え人間の本質を暴く鋭さがある。だが、それはあくまでもシェイクスピアの力量であり、戯曲の魅力である。映画としての『テンペスト』は、空気の妖精エアリエルの表現など、CGを駆使したファンタジックな映像作りが試みられたものの、映画という媒体の特性が十分に活かされているかについて疑問が残る作品だ。アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされるだけあって、ゴージャスな衣装は見応えあり。[金相美]
図版クレジット=テンペスト �2010 Touchstone Pictures

2011/07/03(日)(SYNK)

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