2019年10月15日号
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artscapeレビュー

ムサビのデザイン──コレクションと教育でたどるデザイン史

2011年08月01日号

会期:2011/06/24~2011/07/30

武蔵野美術大学美術館[東京都]

武蔵野美術大学美術館・図書館のリニューアル開館を記念する展覧会。ポスターと椅子を核として1960年代から収集されてきたコレクション約35,000点から選ばれた500点を展示する。コレクションの第一の目的はムサビにおけるデザイン教育のための実物資料であるが、そこには近代デザイン史を概観するものという方針もあり、時代を代表するデザインが収集されてきたという。
教育目的が背景にあるということは、コレクション形成にはその時々のデザイン教育の姿勢、デザインに対する視点が反映されているはずで、その歴史はそのままムサビにおけるデザイン教育の歴史にもなりうる(このことは展示の企画にも謳われている)。しかしながら、コレクションを年代別に並べ、同時代の状況に簡単に触れた展覧会の構成は、21世紀の視点から過去を振りかえった近代デザイン史のテキストといった趣である。せっかくの「ムサビのデザイン」なのだから、近代デザインの一般的な流れを追うよりも──そもそもそれはムサビ以外にも共通することなので──、ムサビがどのようなヴィジョンを持ってデザイン教育を行なってきたのかについて、もっと強調しても良かったのではないだろうか。ただし、今回の企画は武蔵野美術大学美術館が「わが国における『デザインミュージアム』の発展を後押しする筆頭格であること」を示すこともねらいとしており、その意図からすれば展示、図録とも、とても充実したものになっているのは確かである。比較的手薄な日本のプロダクト・デザインも加え、常設化を検討して欲しい。[新川徳彦]

2011/07/14(木)(SYNK)

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