2019年10月15日号
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artscapeレビュー

もてなす悦び──ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会

2011年08月01日号

会期:2011/06/14~2011/08/21

三菱一号館美術館[東京都]

三菱一号館美術館がコレクションするジャポニスムの器を愛でる展覧会。19世紀後半、明治政府は外貨獲得のため、日本の工芸品を積極的に輸出してゆく。展示・商談の場として重要であったのが当時各国で開催されていた万国博覧会で、1873(明治6)年に開催されたウィーン万国博覧会で、日本政府は初めて公式に参加している。欧米に渡った日本文化は、同時代の芸術家たちの創造の源泉ともなり、西欧の絵画や工芸に多くの影響を与えた。この展覧会ではガラス器、銀器、絵画などさまざまな工芸への影響を取り上げているが、タイトルに「お茶会」とあるとおり、中心となるのはカップ&ソーサーなどティ・ウエアのコレクション。大きな展示室に再現されたティー・テーブルと、特設ケースに配されたカップ&ソーサーの数々。器の魅力が伝わる美しい展示である。
ひとくちにジャポニスムといっても、なにを日本的なものとするか、その解釈は直接的な引用から、メンタリティにまで遡るものなどさまざまである。19世紀後半にリチャード・ウィリアム・ビンズがデザインを統括したロイヤル・ウースターの製品には、ビンズが日本美術のコレクターであったこともあり、日本磁器の写しや文様のアレンジが多く見られる。1860年にクリストファー・ドレッサーがデザイン主任を務めたミントンのジャポニスムには、ドレッサーの日本美術に対する深い理解が反映されている。また、展示にはティファニーのガラス器などに現われたように、「朝顔」というモチーフ自体が日本趣味を象徴する例も挙げられている。ただ様式を追うばかりではなく、ジャポニスム誕生の背景、欧米における受容までを視野に入れ、展示にも工夫を施した優れた展覧会である。[新川徳彦]

2011/07/06(水)(SYNK)

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