2019年10月15日号
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artscapeレビュー

ジョセフ・クーデルカ プラハ1968

2011年08月01日号

会期:2011/05/14~2011/07/18

東京都写真美術館[東京都]

1968年8月20日、当時のソ連が中心となったワルシャワ条約機構軍がチェコスロヴァキアの国内に侵攻し、全土を掌握した。本展は、プラハ市民による抵抗の模様を記録した写真展。路上で歩哨に立つ兵士を取り囲む婦人、大通りを進む戦車の隊列、そして群集で埋め尽くされた広場。クーデルカのモノクロ写真は、それらが紛うことなく写真であるにもかかわらず、いやだからこそというべきか、抗議の肉声や戦車の排気音が聞こえてくるように感じられるし、群集の熱を帯びた人いきれすら体感できる。まさしくストリートの写真である。とりわけ、鑑賞者の想像力を大いに刺激したのが、市民と兵士のあいだで交わされた言葉の数々だ。むろん、そこで具体的にどんな言葉がどんな言語で交換されたのか知るよしもない。しかし、被写体に極端に近接した写真からは、そこでさまざまな言葉が生み出され、戦車の兵士に届けられている様子が明らかにうかがえる。「圧倒的で無力な戦車と、無力で圧倒的な言葉」(加藤周一「言葉と戦車」)の対峙を的確にとらえた写真である。

2011/07/02(金)(福住廉)

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