artscapeレビュー
「Chim↑Pom」展
2012年10月01日号
会期:2012/09/22~2012/10/14
パルコミュージアム[東京都]
「ゴミ」をテーマにすることで、渋谷のデパートに置かれた美術館での展示という条件を生かそうとしたChim↑Pom。(恐らく)パルコの商品が陳列された空間をマクドナルド(?)のイメージカラー(黄色とケチャップ色)でめちゃくちゃに塗りたくった最初のブースや、着替え室を潜るとパルコ(PARCO)の看板から奪取した「C」と「P」がクイーンの代表曲に合わせてカラフルに点滅する次のブースは、いたずら心が炸裂していてわくわくさせられた。最後のブースは「ゴミ」をテーマとする作品が並ぶ。インドネシアや東アジアや日本のゴミ事情をリポートするような作品群は、現状確認に留まっていて、なんだかおとなしい。黄色いネズミの剥製が生誕した地、渋谷での展示なのだから、ネズミたちに登場してもらいたかったのは正直なところだ。いや、というよりも、あのネズミたちのように、渋谷の表層が引き剥がされて隠れていた生命力がむき出しになるといった痛快な事態を期待してしまった。服をゴミにしたあとで、さらにそのゴミにタグを付けて販売するといったダイナミックな反転が見たかったのかもしれない。
2012/09/24(月)(木村覚)