2020年09月15日号
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artscapeレビュー

ジリアン・ネイラー『アーツ・アンド・クラフツ運動』(川端康雄+菅靖子 訳)

2013年10月01日号

発行日:2013年6月11日
発行所:みすず書房
価格:4,800円(税別)
サイズ:A5判、352頁

19世紀後半に英国で興り、西洋諸国だけでなく、東アジア、日本の民芸運動にも影響を及ぼしたデザイン運動の「アーツ・アンド・クラフツ」。基本的には、手工芸の復興を目指す運動だが、社会改革や環境保全に深く関わる社会運動でもある。近年では2008年から翌年にかけて、『生活と芸術──アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで』と題した、同運動の国際的展開を扱った展覧会が日本でも行なわれたので、ご記憶の方も多かろう。これに関する著述としては、古典的必読書とされるG・ネイラーの著作(『アーツ・アンド・クラフツ運動──その源泉、理想、デザイン理論への影響の研究』。原著は、初版:1971, Studio Vista、第二版:1990, Trefoil Publications)が翻訳刊行された。本書のあとがきで訳者が述べるに、この著作の独自性は以下の四つ。1)アーツ・アンド・クラフツ運動が開始される前史の記述に詳しいこと。2)当時にいくつも設立された工芸団体の実践が、時代の文脈のなかで詳述されていること。3)1880年代以降の、同運動の国際的な影響と個別的展開が記述されていること。4)20世紀前半の北欧デザインの発展が、同運動の抱えた矛盾をカヴァーし、豊かな成果が見られた点について強調していること。図版も多く収録され、アーツ・アンド・クラフツの全史を知るに最適な本である。[竹内有子]

2013/09/10(土)(SYNK)

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