2020年09月15日号
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artscapeレビュー

山部泰司 展・溢れる風景画

2013年10月01日号

会期:2013/09/03~2013/09/12

LADS GALLERY[大阪府]

主にベンガラ色で描かれた山部泰司の新作絵画。そこには深い森と、森を侵食する洪水や滝などが描かれていた。どこか黙示録的世界を思わせる情景だが、よく見ると森や樹木の大きさが部分ごとにまちまちで、遠近法も1点ではなく複数が脈絡なく展開している。つまり作品中に複数の情景がパッチワークされ、ひとつの大きな情景へと収斂しているのだ。ディテールを目で追うと矛盾の連続で、その都度脳内でイメージを修正しなければならない。でも、決して不快ではない。むしろ目の快楽が勝っているのだ。なんと不思議な絵画作品だろう。近年の山部は、古典絵画に描かれた樹木や森を引用した作品を発表し続けてきた。それがまさかこのような形で結実するとは。本展は、近年の山部の仕事を総括する重要な機会であった。当方にとっても、この間彼の作品を見続けてきたことが報われた気がして感慨深かった。

2013/09/06(金)(小吹隆文)

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