artscapeレビュー

東北画は可能か?

2013年10月01日号

会期:2013/08/31~2013/09/23

ARTZONE[京都府]

東北芸術工科大学の美術科日本画コース准教授の三瀬夏之介と、同洋画コース准教授の鴻崎正武により、2009年から始められたチュートリアル活動(教員と学生が共に取り組む課外活動)である「東北画は可能か?」。山形で、東北で、日本で、絵を描くことの意味を問い続けるこの活動は、決して明確な解答が得られるものではない。そもそも「日本画」「洋画」というジャンル分け自体が曖昧なのだから、さらに「東北画」を加えたところで屋上階を重ねるだけだ。しかし、彼らが言うとおり「問い続ける」ことには意味がある。アーティスト活動とは「問い続ける」ことの連続にほかならず、ジャンルはその後についてくる。すなわち「東北画」とは、彼らにとって突破口を見つけるためのキーワードにほかならない。今回は、同校OB、大学院生、学部生の作品と共同作品が展示された。作風や素材はさまざまだが、関西では見慣れないタイプの作品があったのもまた事実である。伝統文化の濃度が濃い関西で、彼らが放ったカウンターパンチの影響は決して小さくないだろう。

2013/09/03(火)(小吹隆文)

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