artscapeレビュー

《台中国立歌劇院》

2015年04月15日号

[台湾台北市]

《台中国立歌劇院》を見学する。ここは現場の段階で、二度訪れていたが、現物が目の前にあっても、CGがそのまま立ち現われたような不思議な感じがする。工事前から周囲の開発が起き、高層マンションが次々と林立し、公式オープン前のいまも観光客がやってくる。ひょうたん型の空間形式が一番わかるのは、外観の切断面かもしれない。内部は、大中小の3つの劇場をおさめるが、空間の伸縮がかわる垂直の吹抜けがないために、形式は観念的に理解される。もっとも、1階を反復する5階、または1階の反転としての屋上など、体験を記憶しながら歩くと興味深い。むろん、うねる空間が内外に連続したり、未来的な迷宮感もある。現在、内装や舞台装置・機器の工事を継続しており、オフィス、店舗、カフェ、レストランが入り、ちゃんとオープンするのは来年の春らしい。安東陽子、藤江和子、廣村正彰らのデザイナーが入り、アーティストが壁画を描くという。

2015/03/16(月)(五十嵐太郎)

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