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第7回絹谷幸二賞贈呈式

2015年04月15日号

会期:2015/03/16

学士会館[東京都]

絹谷幸二賞はかつての安井賞の精神を受け継ぐ(?)具象系絵画の登竜門だが、賞の贈呈式があるだけで展覧会がないのが残念なところ。ぼくは2回目から作家を推薦してるけど一度も贈呈式に出たことがなかったが、今回初めて推薦作家が奨励賞を受賞したので出ざるをえなくなった。ぼくの推薦したのは、近代日本の画家や評論家を群像として描いた《日本の美術を埋葬する》で話題を呼んだ、久松知子さん。今年の岡本太郎現代芸術賞展でも岡本敏子賞を獲得するなど急上昇中だ。ちなみに絹谷幸二賞はベルベット地に土俗的な図像を油彩で描く谷原菜摘子さん。贈呈式にはもちろんふたりとも出席していたが、驚いたのは谷原さんが艶やかなピンクの和服姿なのに、久松さんはいつも着ている赤と緑のジャージ姿で現われたこと。でもこれは絵のなかの彼女自身(群像のなかに自画像として描き込んでいる)のスタイルに合わせたもので、彼女のトレードマークなのだ。それにしても出席者の大半が正装なので浮きまくってる! 大した度胸だ。

2015/03/16(月)(村田真)

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