artscapeレビュー
竹内公太「Re:手の目」
2015年04月15日号
会期:2015/03/07~2015/03/22
スノーコンテンポラリー[東京都]
タイトルの「手の目」とは手のひらに目玉がある妖怪のことだが、ここでは「触覚的な視線」がテーマになっている。作品は大きく分けてふたつ。ひとつは、いわき市にある石碑の文字をひとつずつ撮影して「我たシは石碑で無イケレど」と映し出す《ブックマーク》。最後の「ケレど」は後に付け加えたそうだ。もうひとつの《手の目》は、3.11の被災地の海岸や鉄道跡や神社などを描いた絵の前に、その絵に手を伸ばすかのようにシリコンで型どった手を設置した作品。手のひらにはライトが仕込まれ、絵を照らし出すと同時に指の影をキャンバスに落としている。風景は、ただ見るより写真に撮ったほうが記憶に残り、写真より絵に描いたほうがさらに記憶に刻まれるが、それでも足りず、もっとフィジカルな記憶がほしいのか。
2015/03/20(金)(村田真)