artscapeレビュー
だれも知らない建築のはなし: Inside Architecture -A Challenge to Japanese Society-
2015年04月15日号
ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展2014を契機に制作された石山友美監督のドキュメント『だれも知らない建築のはなし』の試写会へ。その内容は、大阪万博後の1970年代、ポストモダンの興隆、熊本アートポリスのプロジェクト、バブル後と現在の構成となっている。日本の現代建築史を磯崎新、伊東豊雄、安藤忠雄、レム・コールハース、ピーター・アイゼンマン、チャールズ・ジェンクス、二川由夫らが語る。ポイントのひとつが、建築家と社会の関わりという意味では、金沢21世紀美術館の「3.11以後の建築」展へのイントロとしても鑑賞可能だろう。個人的には海外からの日本へのまなざしや異文化のディスコミュニケーション、そして1980年代バブルの日本がもっていた熱いエネルギーが面白かった。また磯崎が早い時期に、伊東、安藤の二名を高く評価していた目利きぶりにも改めて感心させられるし、ある程度、建築をすでに知っている人はかなり楽しめる。ドキュメント映画として、ハードルを下げる妥協をせず、初心者はわからない固有名詞が多いかもしれないが、多くの人がこれを見て、是非80年代に興味をもってほしい。
2015/03/26(木)(五十嵐太郎)