artscapeレビュー
《ふるさと井上靖文学館》《ベルナール・ビュフェ美術館》
2015年04月15日号
[静岡県]
続いて、ふるさと井上靖文学館へ。視覚的な美術と違い、地味な資料になってしまう文学館はどうしても「見せる」のが難しい。ここもそうだった。この建物と向かいのベルナール・ビュフェ美術館は1973年のオープンで、いずれも菊竹清訓によるもの。2つは対照的な変わったデザインである。ビュフェ美術館は、作家や批評家の言葉を添えながえら、彼の生涯をたどる展示だ。細くとんがった人物造形のキャラ。無数の線で激しくひっかいた画風。1950年代の状況には合っていたと思うが、若くして成功した後、あまり作家として展開や成長がないように感じたので、ピンとこない。ビュフェ美術館で、3月15日スタートの「frame and refrain」展を設営中の杉戸洋に声がけし、絵の配列を決める途中を見せてもらう。あいちトリエンナーレの市美と連なる、さまざまな家型イメージの作品で楽しい。この前のケンジタキギャラリーでも空間インスタレーションだった。
写真:上=《ふるさと井上靖文学館》 下=《ベルナール・ビュフェ美術館》
2015/03/13(金)(五十嵐太郎)