artscapeレビュー

ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち

2010年08月15日号

会期:2010/07/06~2010/08/29

京都市美術館[京都府]

ボストン美術館の新館建設とヨーロッパ絵画部門の拡大、増築にともなって貸し出された16世紀~20世紀前半の絵画80点を展示。ベラスケス、ヴァン・ダイク、レンブラントから、コロー、ミレー、マネ、モネ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ピカソと美術の教科書に載る名が勢揃いした展覧会。マネの隣にベラスケスの作品があるなど、異なる時代のものが並列しているのは肖像画、宗教絵画、風景画など、会場が主題ごとのセクションに分かれているため。モネの風景画のみ11点が並ぶ空間「モネの冒険」は圧巻の見応えだ。《プールヴィル、ラ・カヴェの道》(1882)、《アンティーブの古城》(1888)など、海辺の光景を描いた絵画に見られる色彩の調和、色の重なりや筆の動きは特に生々しく、水と空の移りゆく表情の奥深さに魅了される。炎天下で行列に並ぶことを考えると気が遠くなりそうだが「名画フルコース」の満足感と充実感はたしかに他に代え難い。

2010/07/03(土)(酒井千穂)

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