2021年12月01日号
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artscapeレビュー

2012年07月15日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:「あかりがつなぐ記憶」(天若湖アートプロジェクト2012)

会期:2012/08/04~2012/08/05

京都府南丹市日吉町 天若湖湖面[京都府]

日吉ダム・天若湖全体を舞台に、日吉ダム湖に沈んだかつての天若集落(約120戸)の家々のあかりが湖面全体に再現される「あかりがつなぐ記憶」は、毎年この時期に二日間だけ開催され、恒例となっている。桂川流域の市民や関係者のつくった灯を、記憶と記録に基づき湖面に設置、まぼろしの夜景を見るというプロジェクトで、湖面の巨大インスタレーションは日没から深夜にかけて湖岸道路の随所から眺められる。4日、5日のみJR日吉駅発の送迎バスや「あかりがつなぐ記憶」観覧バスツアー(無料。所要時間:2時間弱)も運行される。また、両日ともに、南丹市日吉町郷土資料館は20時まで延長開館。道の駅・スプリングひよしでは、かつての天若の刊行と生活文化、このプロジェクトの記録などを紹介する展覧会(水の杜 展、2012年8月3日~8月5日)も開催される。

2012/06/30(土)(酒井千穂)

プレビュー:現代美術二等兵活動二十周年記念「駄美術大博覧会」

会期:2012/07/13~2012/07/25

HEP HALL[大阪府]

籠谷シェーンとふじわらかつひとの二人によるアートユニット・現代美術二等兵の活動20周年を記念して開催される展覧会。お菓子に“駄菓子”があるように美術にも“駄美術”があるのでは、と名付けられた駄美術。こけしと鉄アレーをミックスした《こけしアレー》はその代表的な作品だが、会場では新旧100点を超える彼らの駄美術作品に加え、活動の20年を綴った映像も公開される。

2012/06/30(土)(酒井千穂)

栗田咲子 展「そぞろ園芸」

会期:2012/06/16~2012/06/30、2012/07/02~2012/07/14

FUKUGAN GALLERY[大阪府]

栗田咲子の新作展。万博記念公園の太陽の塔の背中(裏側)と椅子に座っている男性を描いた絵の隣に、同じ男性が畳の室内でギター演奏をする様子を描いたものが並んでいた。これは2点組の《太陽のうしろ》という作品。このような異空間や別の時間が渾然と溶け合う栗田の作品世界はそのタイトルや構図もユニークで、いつも物語やモチーフへの想像を掻き立てる。しかし今回の個展は少し異なる印象も。動物園の動物をモチーフにした《中庭の水色》と《次の間》、畑仕事の合間の昼食の光景を思わせる《早お昼》、美しい野鳥を描いた《4月のまぼろし》など、これまでのような、なにかしらの違和感をともなうインパクトはあまりなかった。画風が変わりつつあるのだろうか。また次の発表も気になる。


展示風景

2012/06/30(土)(酒井千穂)

吉岡千尋 展「skannata」

会期:2012/06/16~2012/07/08

アートコートギャラリー[大阪府]

金属粉や顔料を用い、丹念に色を塗り込んだ下地の上に植物や動物、風景などを描いた画面は、よく見るとどれにもうっすらとグリッドが引かれているのがわかる。近年から吉岡は、このようなグリッドを画面に構成した作品の制作を行なっているのだが、今展には、小さな画面に描いた作品と、そのスケールを大きく展開して描いた作品が並んでいた。二つの趣きを楽しめるのもさることながら、描かれた対象の物質感や遠近感などを保つグリッドの緊張感と、筆致や深い色の層がうみ出す物語性のバランスが微妙で、全体にはかなげな、というよりも頼りないガラス細工のような印象のものが多い。それがとても魅力的。



展示風景

2012/06/30(土)(酒井千穂)

台日建築新鋭交流展 Coming of Age 系列活動「當代日本/台灣建築現象談議」

府都建築文化会館(白鷺灣建築文化館)[台湾・台南市]

台南の府都のホールにおいて、日本と台湾の若手建築家が参加した「日台新鋭建築家交流展 自然系建築」に連動したシンポジウムが開催された。藤本壮介のレクチャーに続き、筆者は「21世紀のモニュメント」と題して、彼がコンペで勝利した台湾タワーに関するコメントを行なった。これは高さや垂直性を志向する塔ではない。実際、細長いプロポーションではなく、横方向にも伸びている。かといって、最大の床面積を得るべく、フロアを積層させた高層ビルでもない。なぜならば、内部は空っぽであり、吹抜けの下に大きな広場を抱えている。すなわち、藤本の提案は、タワーそのものの概念を変えてしまう、オルタナティブ・モダンの建築なのだ。もはや「タワー」に代わる言葉が必要だろう。

写真:藤本壮介の台湾タワーの模型を上からのぞく

2012/06/30(土)(五十嵐太郎)

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