2022年10月01日号
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artscapeレビュー

2013年06月01日号のレビュー/プレビュー

The Responsive Eye

会期:2013/04/30~2013/05/12

海岸通ギャラリー・CASO[大阪府]

「The Responsive Eye」とは、1965年にニューヨーク近代美術館で開催され、オプアートの存在を知らしめた重要な展覧会だ。それと同名の本展では、関西を中心に活動する5作家を紹介。彼らの作品は、視覚効果のみならず、人間の生理、記憶、関係性、現実と現象の狭間などがテーマとされており、多様な視点から今日的なオプ・アートを提示する試みとなった。出品作家は、君平、ふなだかよ、水城まどか、本郷仁、笹岡敬。なかには本当にオプ・アートの範疇に入れるべきなのか疑問に思う作家もいたが、作品のスケールと完成度、展示の美しさには目を見張るものがあった。質の高い企画展として記憶にとどめたい。

2013/05/04(土)(小吹隆文)

須藤絢乃 個展「Roses are red, Violets are blue, Sugar is sweet,And so are you.」

会期:2013/05/01~2013/05/13

つくるビル 202号室[京都府]

少女マンガの登場人物のように理想化された女性像・男性像を、特異な写真表現として具現化する須藤絢乃。作品にはラインストーンやグリッターの装飾も加味されており、濃厚な美意識を完全なものにしている。彼女はこれまでアートフェアや海外での発表が多く、意外なことに個展はこれが初めて。作品数6点と小規模だったが、地元関西で作品を見る機会をつくってくれたことは感謝したい。須藤の作品は先頃、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館の収蔵が決定した。今後ますますインターナショナルな活躍が予想されるので、その意味でも本展は貴重だった。

2013/05/05(日)(小吹隆文)

ヒカリエイガ

会期:2013/05/06

渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホール[東京都]

昨年、渋谷駅東口の東京文化会館跡地に建設された複合商業施設「ヒカリエ」。本作は、その一周年を記念して製作された短編オムニバス映画で、9人の映画監督がヒカリエを舞台にそれぞれ物語を描いた。プロデューサーはドキュメンタリー映画監督の本多孝義。商業施設が主導して製作した映画自体珍しいが、その中身もそれぞれ面白い。
ありていに言って、商業施設と芸術の相性はあまりよくない。店舗などを活用した展覧会の場合、広告ディスプレイを阻害する美術作品は歓迎されないことが多いし、たとえ展示が許されたとしても、それらはおおむね広告の空間に埋没しがちである。美術の自立性は、ほとんどの場合、消費のための空間においては通用しないのである。
ところが、本作では商業施設と芸術の幸福な関係性を見出すことができた。というのも、本作には商業施設が敬遠しがちな外部や他者が正面から描写されていたからである。例えば『元気屋の戯言 マーガレットブルース』(元気屋エイジ監督)では「ヤクザ」、『私は知ってる、私は知らない』(澤田サンダー監督)では「幽霊」、『Make My Day』(完山京洪監督)では「(化粧品売り場における)怪しい男性客」などが物語を構成する重要な登場人物として描写されている。とりわけ、『SAMURAI MODE~拙者カジュアル~』(堀井彩監督)では「侍」や「オタク」が登場するばかりか、見方によってはショップ店員を揶揄しているように見える演出すらある。ようするに、この短編オムニバス映画には、ヒカリエに一貫しているおしゃれなイメージを損ないかねない要素がふんだんに盛り込まれているのである。
映画であろうと美術であろうと、外部や他者を欠落させた表現は退屈である。表現が到達するリーチが必然的に短くなるし、表現が内蔵するひろがりを殺してしまうからだ。とりわけ『Make My Day』は、化粧品売り場にとっての外部以外の何者でもない男性客をユーモラスに描写しながら、同時に、化粧する女性販売員の内側を巧みにあぶり出した。見終わったあと、不思議と幸福な心持ちになるほどの快作である。
本作は、企業イメージの向上ばかりを性急に求める企業メセナの現状に対する、ひとつの批判的かつ生産的な提案として評価できる。

2013/05/06(月)(福住廉)

山添潤 彫刻展

会期:2013/05/07~2013/05/19

Gallery PARC[京都府]

京都府出身で、現在は関東を拠点に活動する山添潤が、2年ぶりに郷里で個展を開催した。彼は石彫やドローイングを発表しているが、その目的は特定の形象を彫り出すことではない。何よりも素材との対話を重視し、プロセスの果てに立ち現われる、本人ですら予期できない「存在」をあぶり出すことが主眼なのである。本展では、彫り進みの段階が異なる6つの石柱を出品。素材との対話のプロセスが伝わるような、いままでにはない展示を見せてくれた。また、ドローイングの点数が多いのも本展の特徴だった。山添によると、ドローイングも「平らな彫刻」とのこと。その感覚は生粋の彫刻家ならではのものだ。

2013/05/07(火)(小吹隆文)

花田恵理 展“Open spaces”

会期:2013/05/07~2013/05/12

KUNST ARZT[京都府]

白地に丸く抜かれた風景が印刷されたDMを見て本展に出かけたら、まったく同じ情景と遭遇した。ギャラリーの壁が3カ所にわたり切り抜かれていたのだ、そのうち2カ所は円形の穴から近隣の風景が見え、1カ所は長方形の穴から壁の向こうに隠されていた床の間の痕跡が窺える。どうやら花田のテーマは、場の本質を明らかにしたり、新たな意味づけを行なうことらしい。それは、パブリックな場所で鬼ごっこする過去作品の映像からも明らかだ。彼女はまだ美大に在学中とのことだが、すでに独自のスタイルを確立しつつある。今後の展開を楽しみに待ちたい。

2013/05/07(火)(小吹隆文)

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