artscapeレビュー

2013年07月15日号のレビュー/プレビュー

TWSエマージング 196/197/198/199

会期:2013/06/08~2013/06/30

トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]

これは「トーキョーワンダーウォール公募」の入選作から選ばれた若手作家の展示だが、今回は都現美の「公募」と同じくパッとしないなあ。齋悠記(シャレた名前!)は不定形の抽象画だが、それより角にアールをつけたパネルを使用しているのが目を引く。残念ながらそれが内部の図像と関連しているようには見えない。笠見康大は100号と130号の大作10点の展示で、どれも一貫してピンクとグレーを基調にしているが、裏返せばどれも似たり寄ったりで、どこか時代遅れの抽象画といった印象は否めない。ふたりとも抽象画だからダメなのかといえば、そうでないことはあとのふたりを見ればわかる。風間雄飛は珍しく版画で、和紙にシルクスクリーンか木版で刷っているが、描かれている図像は興味を惹くものではない。桑田まゆこは下塗りした上に小動物や植物や装飾品などをサラリと描いているが、特筆すべき点はない。なんだろ、この停滞感は。

2013/06/28(金)(村田真)

透明な奥のほう──wks.←→C. A. P.

会期:2013/06/23~2013/07/13

gallery wks.[大阪府]

大阪と神戸で同時開催されている展覧会。人と作品が二つの場所を行き来することにより、新たな出会いをつくりたいと企画されたもので、上村亮太、浅野夕起、田岡和也、桜井類の4名の作家が出展している。会期中、関連イベントもいくつか企画されている展覧会なのだが、この日は「聴くコト←→見るコト」と題した、おもに神戸を拠点に活動している“リコーダー部”(下田勝久、上村良太、金井和歌子、伊藤まゆみ、神谷千晶、小阪真由)の演奏ライブが大阪の会場、gallery wks.で開催された。有名な曲のカバーだけでなく、オリジナル曲も数曲披露されたライブ。もちろん演奏もだが、なにより出演メンバーが皆とても楽しそうだったのが印象的で羨ましい。展覧会はこちらの会場では上村が映像作品を発表。その他の作家は、平面の作品を展示していた。神戸の会場(CAP STUDIO Y3)はまだ見ていないが、また異なる雰囲気のようで楽しみだ。


CAPリコーダー部ライブ 「聴くコト←→見るコト」の様子(gallery wks.で開催)

2013/06/29(土)(酒井千穂)

トリエンナーレスクール2013年度 藤村龍至「列島改造論2.0とナゴヤ・ソーシャルプローブ・プロジェクト構想」

会期:2013/06/29

名古屋市美術館 2階 講堂[愛知県]

名古屋市美術館のトリエンナーレ・スクールにて、藤村龍至がレクチャーを行なう。前半は列島改造論2.0で、会場の美術館を設計した黒川紀章も、若かりしころはこんな感じだったのかと思う。後半はデザインの底上げを行なうワークショップ形式の展開について。履歴をつけて、改良を重ねる方法論は、超線形→CITY2.0→鶴ヶ島という一連の進化そのものとも重なりあう。また超線形プロセス論では、設計者サイドの底上げを行なっていた藤村が、最近のプロジェクトでは、ユーザー、すなわち一般市民側の底上げも試みていたことがよくわかる。またトリエンナーレで行なう、あいちプロジェクトが披露され、道州制や中京都の構想を踏まえ、現在の県庁と市庁舎を博物館に変え、その向い側にそれぞれの新しい庁舎をつくる計画を期間中、来場者や学生を巻き込みながら、進めていく。

2013/06/29(土)(五十嵐太郎)

プレビュー:安野光雅 展「あんのさんのしごと」

会期:2013/07/13~2013/09/01

佐川美術館[滋賀県]

1968年に福音館書店より刊行された『ふしぎなえ』で絵本作家としてデビュー、その後も独創的な絵本を数々発表。装丁家や画家としても精力的に活動し、精緻な描写と柔らかな色彩、遊び心あふれる作品で子どもから大人まで、広く親しまれている安野光雅(1926-)。今展は絵本や装丁、画家としての仕事を、津和野町立案の光雅美術館が所蔵する120点で紹介する。8月3日、8月4日には子ども向けのワークショッププログラムも開催される。

2013/07/15(月)(酒井千穂)

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プレビュー:堂島リバービエンナーレ2013──Little Water

会期:2013/07/20~2013/08/18

堂島リバーフォーラム[大阪府]

2009年、2011年に続き、3度目となる「堂島リバービエンナーレ2013」が7月20日(土)~8月18日(日)、中之島の対岸にある堂島リバーフォーラムにて開催される。第1回目はアート・ディレクターに森美術館館長の南條史生氏、第2回目は、青森県立美術館チーフ・キュレーターの飯田高誉氏をアーティスティック・ディレクターに迎え開催された。今回は台湾出身のキュレーター、ルディ・ツェン(Rudy Tseng)氏がアーティスティック・ディレクターを務め「Little Water」をコンセプトに、人々の暮らしはもとより、アジアの文明と文化を豊かに育んできた「水の意味」を再考し、農業や文学、エコロジー、人間の感性など多様な水の役割を探究していく。参加アーティストは日本をはじめ、アジア諸国、欧米から28作家。さまざまな表現ジャンルとアーティスト達の感性を楽しみたい注目の展覧会。

2013/07/15(月)(酒井千穂)

2013年07月15日号の
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