2019年09月15日号
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artscapeレビュー

2015年06月15日号のレビュー/プレビュー

NFCコレクションでみる日本映画の歴史

東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(常設展)[東京都]

国立近代美術館フィルムセンターへ。常設展示は、日本における映画の受容と発展を、貴重な映像資料、当時のカメラ、脚本、ポスターなどで紹介する。特に、いわゆる「映画」として確立される以前の時代の、さまざまな試行錯誤が興味深い。企画展示は、「シネマブックの秘かな愉しみ」で、映画関連のさまざまな書籍を展示している。検閲者が書いた映画本などが印象に残った。

2015/05/13(水)(五十嵐太郎)

吉本伊織「涙をたたえて微笑せよ」

会期:2015/05/04~2015/05/24

高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]

2012年に黄金町にやってきて、この6月なぜか天草に去っていく吉本の、とりあえず横浜最後の個展。作品は15点ほど。いずれもモノクロームに近い風景画で、水平線が見えたり、雪が降っていたり、どちらかというと日本海側っぽい侘しい光景だ。キャンバスはほとんど用いず、パネルに綿布を張ってアクリル、黒鉛、墨汁、顔料などで描くため、日本画のような印象を受ける(のがタマにキズだが)。その朴訥な画面からも、ナイーブすぎるタイトルからも、作者の純朴な一面がうかがえる。

2015/05/14(木)(村田真)

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岡上淑子『はるかな旅』作品集出版記念展

会期:2015/04/25~2015/06/14

LIBRAIRIE6[東京都]

1953年に瀧口修造の推薦で、タケミヤ画廊で個展を開催してデビューし、57年の結婚を期に活動を停止するまで、まさに彗星のようにアート界を駆け抜けた岡上淑子のフォト・コラージュ作品に対する評価は、このところ再び高まりつつあるようだ。今回、河出書房新社から刊行された、決定版と行ってよい作品集『はるかな旅』には、自選作品77点の他に、全作品のリストがおさめられている。
その作品集の出版にあわせて、東京・恵比寿のLIBRAIRIE6では、オリジナル作品9点、2014年制作のシルクスクリーンによる複製9点による展覧会が実現した。あらためて岡上の作品を見ると、彼女の仕事が「シュルレアリスムの作家」というこれまでの評価から、ややはみ出したものだったのではないかと思えてくる。たしかに、技法的にはマックス・エルンストらのフォト・コラージュの系譜に位置づけられるのは間違いないが、『ヴォーグ』や『ハーパーズ・バザー』誌のファッションページから、写真を鋏で切り取っては糊で貼り付けていく手つきは、アーティストのそれというよりは少女の着せ替え人形遊びを思わせるのだ。フロイトの精神分析理論の翳りなどかけらもない、あっけらかんとしたイノセントな明るさが、彼女の作品にはいつも漂っている。
今回の展示で注目されるのは、唯一フォト・コラージュではなく多重露光の技法で制作された「女」(1955年)である。彼女自身、この時期に新たな展開をめざしていたように見えるのだが、残念なことにその作業は中断してしまった。名古屋のシュルレアリスト、山本悍右などの仕事にも通じるこの時期の作品についても、きちんと見直していくべき時期に来ているのではないだろうか。

2015/05/15(金)(飯沢耕太郎)

磯部昭子「DINNER」

会期:2015/05/09~2015/06/07

G/P gallery[東京都]

磯部昭子は1977年生まれ。2001年に武蔵野美術大学映像学科卒業後、フリーランスとして主にファッション、広告のジャンルで活動している。今回のG/P galleryでの個展は、2012年の「u r so beautiful」(ガーディアン・ガーデン)以来2回目ということになる。
今回の展示は、カラフルでポップなテイストが強調され、視覚的なエンターテインメントとして充分に楽しめるものになっている。大小の作品18点をちりばめるインスタレーションも、うまくはまっていた。前回の個展では、スナップショット的な要素が大きかったのだが、今回は広告写真家の主戦場であるスタジオワークが中心となっているので、のびのびと力を発揮しているように見える。身体とオブジェとのトリッキーな組み合わせが彼女の持ち味なのだが、それを、楽しみつつ模索している様子が伝わってきた。
ただ、この種のファッショナブルな身体イメージの展開は、それこそ1920~30年代のマン・レイやアーウィン・ブルーメンフェルドの時代から積み上げられてきているものであり、このままだとそこに口当たりよくおさまってしまいそうな気もする。身体の壊し方、ずらし方に、ある種の節度を感じるのがもどかしい。ヴァリエーションを増やすのではなく、何か特定のモードに、もっと強烈にこだわっていくのもひとつのやり方だろう。うまく伸ばしていけば、もう一皮むける才能の持ち主なのではないかと思う。

2015/05/15(金)(飯沢耕太郎)

今井俊介、岡崎乾二郎、大山エンリコイサム展

会期:2015/05/09~2015/06/06

タクロウソメヤコンテンポラリーアート[東京都]

南麻布に移転して初訪問。似て非なる3人のアーティストの取り合わせは絶妙だ。絵具をベッタリ塗りつけた小型のキャンバスを数点ずつ並べた岡崎、独自のシステムで数種類の旗がはためくような色面を構成している今井、グラフィティ特有のストロークをペインティングに採り入れた大山と、甲乙つけがたい作品ばかり。似て非なると書いたが、いずれも制作を外的なシステムや既存の形式にある程度ゆだねている点で、非て似なるというべきかもね。

2015/05/15(金)(村田真)

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