2019年09月01日号
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2015年06月15日号のレビュー/プレビュー

ダブル・インパクト──明治ニッポンの美

会期:2015/04/04~2015/05/17

東京藝術大学大学美術館[東京都]

ダブル・インパクトとは、幕末に開国してから日本が受けた西洋からの衝撃と、逆に西洋が日本から受けた衝撃という双方向的な影響関係を指す。美術に限らず、こうした異文化が衝突・融合したときの表現にはしばしば目を見張るものがある。出品は東京藝大と、藝大の前身である東京美術学校の設立に尽力した岡倉天心も深く関わったボストン美術館から、河鍋暁斎、小林清親らの近代的浮世絵、ワーグマン、高橋由一、五姓田義松らの初期油絵、狩野芳崖、橋本雅邦らの初期日本画、西洋で人気を博した超絶技巧の工芸品など多彩。いちばんインパクトがあったのは、チラシやポスターにも使われた小林永濯の《菅原道真天拝山祈祷の図》。ヒゲおやじが雷に打たれて身体を硬直させているシーンだが、まるで劇画じゃねーか。永濯のもう1点《七福神》も布袋の肉感的描写が妙にエロっぽくて衝撃的。また、朦朧体の例として出ていた横山大観の《滝》《月下の海》は、それぞれ垂直・水平を強調したミニマル日本画。とくに《滝》は女性器そのものに見える。黎明期の日本画は好き放題やり放題だな。なんでこの奔放さを持続できなかったのか。

2015/05/04(月)(村田真)

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松山賢 個展「ハーイプシィ」

会期:2015/04/28~2015/05/17

みうらじろうギャラリー[東京都]

女の子、土偶、絵具などさまざまなモチーフを行ったり来たりしてる松山の、今回はエロばかりを集めた個展。チンコマンコを合体させた97年の彫刻「きもちいいからだ」から、女体の部分に花柄模様を被せた「ボディ」「ハーイプシィ」シリーズまで、エロエロあります。圧巻はS0号(18×18センチ)の画面に女性器を描いた連作。あっさりとした水彩もあれば、バーネット・ニューマン風の崇高な縦一線もあるし、克明な描写に装飾模様を重ねた油彩もある。値段を見ると、それぞれ2万、5万、8万円(消費税抜き)と3段階に分かれている。これはかかったテマヒマに比例しているんだろうが、買う側にとっては悩ましい価格設定だ。買いたいけど買えないけど。

2015/05/04(月)(村田真)

大原美術館展 名画への旅

会期:2015/04/18~2015/05/31

静岡市美術館[静岡県]

静岡市美術館の大原美術館展へ。コレクションの紹介だけでなく、美術館の歴史を振り返る内容が興味深い。事業家の大原孫三郎が、画家の児島虎次郎のパトロンとなって、同時代のヨーロッパ絵画の収集が始まり、1930年に日本初の西洋美術館が誕生した経緯から、近年の現代アートへのサポートまでをたどる。昨年、久しぶりに倉敷の大原美術館を訪れたが、誇るべきコレクションと街並みだったことを思い出す。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

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静岡市立登呂博物館

静岡市立登呂博物館[静岡県]

新しい伝統になるかもしれない、静岡のサンバカーニバルのオープニングを見てから、静岡市立登呂博物館へ。隣の遺跡と一体化し、復元や模型のほか、発掘当時の様子を伝えるさまざまな資料があり、興味深い展示だ。が、この建物のデザインはひどい。屋外の登呂遺跡と住宅地の混ざる不思議な雰囲気が台無しではないか。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

芹沢銈介美術館本館(石水館)

芹沢けい介美術館[静岡県]

竣工:1981年

三度目の芹沢銈介美術館へ。白井晟一(白井晟一研究所)が設計した石水館である。プランはコの字型の一筆書きになっており、意外に機能的な動線だが、およそ普通の展示室らしくない、ユニークな空間という印象は変わらない。過剰に素材感のあるエクステリアと、傾斜した天井やアーチが続くインテリアをそれぞれ別個にデザインし、あえて「建築的」な統合がないと言うべきか。

2015/05/05(火)(五十嵐太郎)

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