2020年06月01日号
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artscapeレビュー

2015年11月15日号のレビュー/プレビュー

Under 35 Architects exhibition 2015──35歳以下の若手建築家による建築の展覧会

会期:2015/10/16~2015/10/31

グランフロント大阪[大阪府]

毎年恒例U-35の展覧会。シンポジウムで建築史家の倉方俊輔とダブル司会を務めたように、司会は2人だし、出品者よりゲスト建築家が多い、やたら豪華な企画である。今年は若手6組の展示手法が、それぞれ個性的であり、うまかった一方で、建築作品そのものの紹介が少なかった。そのせいか、今年から最優秀を決める予定だったが、最後は審査委員長の藤本壮介がゴールドメダルはナシと判断した。一昨年、石川県のでか山のプロジェクトで卒業設計日本一だった岡田翔太郎が参加しており、圧倒的な最年少である。

写真:左上=岡田翔太郎、左中=金田泰裕、左下=植村遥、右上=高濱史子、右中=佐藤研也、右下=北村直也

2015/10/16(金)(五十嵐太郎)

コレクション企画「線の美学」

会期:2015/10/16~2015/12/13

愛知県美術館[愛知県]

愛知県美のコレクション展「線の美学」を見る。日本画の「蜘蛛」から堀浩哉「水の肌へ」やアグネス・マーティンの現代美術まで、線をめぐるさまざまなテーマを設定し、古今東西の作品を紹介する。美術館のコレクションの力を伝える企画だ。以前、某美術館で開催されていた、結局、何でもありになってしまう光と影を切り口に、収蔵品を再構成した企画より、線のテーマは明快で好感がもてる。

2015/10/17(土)(五十嵐太郎)

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ルイス・ボルツ「Sites of Technology」

会期:2015/09/12~2015/10/17

WAKO WORKS OF ART[東京都]

ルイス・ボルツ(1945~2014年)はアメリカ・カリフォルニア州ニューポート生まれ。1975年に、ベッヒャー夫妻、ロバート・アダムス、ニコラス・ニクソン、スティーブン・ショアらとジョージ・イーストマンハウス国際写真美術館で開催された「ニュー・トポグラフィクス」展に参加し、風景を「地勢学的に」厳密に探究、撮影していく流れの先駆者の一人となった。「The New Industrial Parks near Irvine, California」(1974)、「Nevada」(1977)、「San Quentin Point」(1981-83)といった写真シリーズは、日本の同世代の写真家たちにも強い影響を及ぼしている。だが、パリに移住した1990年代以降、モノクローム写真を、相互の関係性を考慮しながら配置していくスタイルから離れて、「Ronde de Nuit」(1992/95)のような大判のカラープリント使用したインスタレーション的な展示を試みるようになる。
そのことは、彼の以前からの観客にやや戸惑いを与えることになるのだが、今回WAKO WORKS OF ARTで1980年代の代表作の一つ「Near Reno」(1986-87)トともに展示された「Sites of Technology」(1989-91)のシリーズを見て、その変化が必然的なものだったことがよくわかった。ボルツや「ニュー・トポグラフィクス」の作家たちは、70~80年代の都市化、工業化による景観の変容に対応していったのだが、90年代にはそれが可視的なものから不可視の領域にまで達しはじめていたのだ。テクノロジーが急速にデジタル化してくることによって出現してくる眺めは、従来の写真撮影のやり方では捉えることができない。ボルツはカラー写真を使いはじめ、インスタレーション的な手法を模索するようになる。その過渡期に制作された「Sites of Technology」のシリーズは、時代の切断面に鋭敏に反応した、いかにもボルツらしいクオリティの高い作品に仕上がっており、より若い世代(たとえば畠山直哉、伊奈英次など)の写真表現を先取りするものとなっている。

2015/10/17(土)(飯沢耕太郎)

山内道雄「DHAKA」

会期:2015/10/17~2015/10/28

ZEN FOTO GALLERY[東京都]

山内道雄は1982年に東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)卒業後、東京とその周辺を中心に撮影したスナップ写真を発表し、距離を詰めて被写体に肉薄する、過激で過剰なスタイルで注目を集めた。1990年代には上海、香港、コルカタ(インド)、ワイキキ(ハワイ)などに撮影の対象を広げ、2000年代には基隆(台湾)、ダッカ(バングラデシュ)を撮影して、それぞれ写真集を刊行する。今回のZEN FOTO GALLERYでの展示は、2013年に撮影し、15年に写真集として刊行された『DHAKA』(東京キララ社)からセレクトされた26点によるものである。
都市の路上を彷徨いつつ撮影するスナップであることに違いはないが、2000年代以降、山内の写真のあり方がやや変わりつつあるのではないかと思う。以前のように、苛立ちや悪意が前面に押し出された、鋭く突き刺さるような写真ではなく、より肯定的、包括的な眼差しがあらわれてきていくように見えるのだ。今回の、バングラデシュの首都、ダッカを撮影したシリーズでも、街や人との相互交流の様相を、柔らかに伸び縮みする写真群に写し込んでいる。モノクロームとカラー写真とが混じりあう構成も、以前には見られなかったものだ。今回は持参した白黒フィルムがなくなったので、現地でカラーフィルムを買い求めて現像したところ、色味が飛んだ、荒っぽいテクスチャーのネガになってしまった。だがそのハプニングが、ダッカの街の、ざらついた、ハレーションを起しているような空気感を定着するという意味では、とてもうまく機能している。山内の都市シリーズは、新たなステージに移行しつつあるのではないだろうか。そろそろ、彼の全体像を概観できる展示も見てみたい。

2015/10/17(土)(飯沢耕太郎)

ヴェネツィア展──魅惑の都市の500年

会期:2015/09/19~2016/02/21

名古屋ボストン美術館[愛知県]

長年にわたって美術に愛された水の都市とアートの関係をたどる。もちろん、宣伝で謳われているように、ティツィアーノ、カナレット、モネ、ブーダンらの作品をアメリカからもってきたのがウリだが、フォルトゥーニによるプリーツのファッション、小さな都市においてプライバシーを守るためのマスク、20cmありそうな高底靴、ムラーノ・ガラスのデザインにおける近代革命など、生活と風俗の展示も楽しめる。

2015/10/18(日)(五十嵐太郎)

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2015年11月15日号の
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