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2015年12月15日号のレビュー/プレビュー

横浜発 おもしろい画家 中島清之─日本画の迷宮

会期:2015/11/03~2016/01/11

横浜美術館[神奈川県]

若い時に関東大震災後の横浜風景なども描いた画家である。日本画ながら、戦後はアンフォルメルに影響を受けたり、抽象や幾何学も試したり、ちあきなおみを題材にするなど、さまざまな方法をどん欲に探求した。また建築の絵は歪んだ線が特徴である。ほかにカプリッチョ風の銀座の描写も興味深い。横浜美術館の常設では、写真セクションにおいて、コムデギャルソン/川久保玲が1980年代から90年頃までに手がけた椅子や家具と、店舗で紹介してきた中平卓馬や清野賀子らの写真を一緒に展示している。貴重な企画だ。やはり、椅子にも独特のデザインのセンスが光る。その椅子に座ることができるコーナーも設けられていた。

2015/11/29(日)(五十嵐太郎)

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フェスティバル/トーキョー15「颱風奇譚태풍기담」

会期:2015/11/26~2015/11/29

東京芸術劇場シアターイースト[東京都]

ソン・ギウン×多田淳之介「颱風奇譚」@東京芸術劇場。これは傑作である。シェイクスピアの「テンペスト」を下敷きに、1920年代の植民地主義下における朝鮮と日本を主題とした物語に変えている。二カ国語(さらに発話者の母国語/外国語に分節)と東北弁と魔術的なボイスが混在しつつ、重層的に練り上げられた人/国家/島の関係が緊張感を生む。

2015/11/29(日)(五十嵐太郎)

フェスティバル/トーキョー15 ギンタースドルファー/クラーセン『LOGOBI 06』

会期:2015/11/26~2015/11/29

アサヒ・アートスクエア[東京都]

ギンタースドルファー演出のLOGOBI06@アサヒ・アートスクエアも面白い。コートジボワールからパリに移住したフランクと日本人の石井丈雄が、ダンスと言葉で会話しながら、即興で踊る。笑いの要素も多く楽しいが、同時に2人の身体性の違いも明瞭に浮上する。岡田や「颱風奇譚」などの日韓作品と同様、F/T15のテーマ「融解する境界」に沿った作品と言えるだろう。

2015/11/29(日)(五十嵐太郎)

東北画は可能か?──地方之国構想博物館

会期:2015/11/26~2015/12/06

東京都美術館ギャラリーB[東京都]

都美が選んだグループ展のひとつ。これは濃密な展覧会。「東北画」とは東北芸工大日本画コースの三瀬夏之介を中心に、在学生や卒業生が集まってスタートしたチュートリアル活動。世界の辺境である日本、の辺境である東北において絵画は可能か?日本画は可能か?を問う活動を進めてきたが、2011年の3.11以降じわじわと存在感を増し、注目を集めるようになった。今回は個人の作品も展示されてるが、《東北山水》をはじめ共同制作による数点の大作が目を引く。これらは東北をモチーフにした幻想的な風景画をシートに描いたもので、地方限定モチーフといい、日本画家によるコラボレーションといい、枠に張らないシートの展示といい、これまでの現代美術のグローバル志向を引っくり返すポテンシャルをはらんでいる。

2015/11/29(日)(村田真)

忘れたと思った?

会期:2015/11/26~2015/12/06

東京都美術館ギャラリーA[東京都]

吹き抜けの巨大空間を使用したもうひとつのグループ展。こちらは床に写真をばらまいて土足もお持ち帰りも可としたり、女性が穴を掘る映像を映し出すテレビモニターを置いたり、道で拾ったメモを額装して壁に展示したり、壁の穴に野球ボールを突っ込んだり、いろんなことやっている。そのわりに空間がスカスカなのは、会場でキャッチボールするパフォーマンスが行なわれるせいかもしれない。そもそも10個のパフォーマンスをするつもりだったのにほとんどが却下され、唯一許されたのがキャッチボールだったという……。どんなパフォーマンスをやるつもりだったんだろう。でも美術館内でキャッチボールできるってだけでもスゴイかもね。まあなんかどうも空振りな展覧会。

2015/11/29(日)(村田真)

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