2018年01月15日号
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artscapeレビュー

没後50年記念 川端龍子 ─超ド級の日本画─

2017年07月15日号

会期:2017/06/24~2017/08/20

山種美術館[東京都]

川端龍子といえば戦争画しか知らなかったが、戦争画といってもそれこそ超ド級画で、大画面いっぱいにシースルーの戦闘機を描いた《香炉峰》とか、青い姿の水神が水雷を担いで発射させる《水雷神》など、トンデモ戦争画なのだ。ほかにも東京国立近代美術館所蔵の《輸送船団海南島出発》《洛陽攻略》など興味深い戦争画を描いているが、《香炉峰》と《水雷神》は敗戦後なぜか接収されず(あまりに表現が非現実的だったからか)、現在は龍子記念館の所蔵だ。今回は《香炉峰》のみの出品だが、高さ2.4メートル、幅7メートルを超す大画面はやはり圧巻。戦闘機の両端が画面からわずかにはみ出していることから、ほぼ原寸大で描かれたらしい。背景の香炉峰の緑と、機体の一部に塗られた朱色の対比が鮮やか。画面のド真ん中に日の丸が来るよう計算されている。
もう1点、敗戦直前に自宅が空襲で破壊された体験に基づく《爆弾散華》も、広い意味で戦争画だ。ただし、家も炎も描かれておらず、飛び散る植物の図に金箔を散らしたもので、作者の解題がなければわからない。ほかに、サメ、エイ、イカ、クラゲなどが宙を舞う《龍巻》は、国際連盟を脱退する1933年の制作で、これも日本の生命線である太平洋をモチーフにしている点で戦争の匂いがする。日本画というのは多かれ少なかれナショナリズムに根ざした表現なので、戦争が近づけば「がんばれニッポン」に傾かざるをえないのかもしれない。

2017/06/29(木)(村田真)

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