artscapeレビュー

佐藤令奈『Slightly but quite different』

2017年07月15日号

会期:2017/06/10~2017/07/16

ギャラリー・キドプレス[東京都]

昔、肌色というクレヨンがあった。でも人種によって肌の色は千差万別だから差別につながりかねない、てわけでいつのまにか肌色が消えた。そもそも同じ人間でも背と腹では肌の色は異なるし、夏と冬でも違う。もっといえば、同じ肌でもよくよく見ると、赤、白、黄色、たまに青も混じり合った複雑なマダラ模様をしているのがわかる。とりわけ新鮮な赤ちゃんの肌や、若い女性の乳房とか太ももあたり(あんまり見たことないけど)。つまり「肌色」というのは錯覚、イリュージョンにすぎないのだ。そんなビミョーな肌の色を追求しているのが佐藤令奈だ。いや肌色だけでなく、佐藤は柔らかい肌のプニプニ感も絵具で再現しようとしている。だから彼女は赤ちゃんを描くのだが、肌のドアップのため顔が画面からはみ出すし、あんまりかわいくないし。ただひたすら新鮮な肌を画面に再現しようとしているのだ。3年ほど前には「肌の秘密」と題して、乳白色の肌で知られる藤田嗣治と2人展をやったそうだが、肌のみに関しては藤田よりはるかに上だ。

2017/06/17(土)(村田真)

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