2018年07月15日号
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artscapeレビュー

歿後60年 椿貞雄 師・劉生、そして家族とともに

2017年07月15日号

会期:2017/06/07~2017/07/30

千葉市美術館[千葉県]

椿貞雄は岸田劉生の門下生で、平塚市美術館で開かれていた刺激的な企画展「リアルのゆくえ」にも出ていたので見に行く。出品は200点近くあるが、前半は椿だけでなく、劉生の《自画像(椿君に贈る自画像)》《椿君之肖像》など椿関連の作品も多く、少し得した気分(ちなみに《椿君之肖像》は6月11日までの平塚市美にも出ていたから忙しい)。肝心の椿の作品は初期こそ濃密な描写で劉生とタメ張っていたが、劉生没後は《髪すき図》やいくつかの《冬瓜図》を除き、次第に凡庸な静物画や家族の肖像画、趣味程度の水墨画に堕していく。想像するに、彼は生活のために学校で教え、家庭にも恵まれていたようだから、極端な冒険をする必要も求道的な生活を送る必要もなく、そこそこ幸せに暮らしたのかもしれない。別に不幸こそ芸術の友といいたいわけではないけれど。

2017/06/25(日)(村田真)

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