2021年12月01日号
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artscapeレビュー

東洋学の歩いた道「古代中国の名宝──細川護立と東洋学」

2013年11月01日号

会期:2013/10/05~2013/12/08

永青文庫[東京都]

永青文庫では「古代中国の名宝──細川護立と東洋学」のタイトルで、細川護立(1883-1970)のコレクションから東洋学への関わりを見せている。美術品の蒐集家であった護立は、大正14(1925)年に始まる漢代の楽浪遺跡の発掘支援と、大正15年から昭和2年(1926-1927)にかけてのヨーロッパ旅行を契機に、古代中国の陶器や金属製品を蒐集するようになったという。蒐集にあたっては、親交のあった学者たちに助言を求めたが、またそれらの学者たちの求めに応じて収集品を展覧会に出品し、あるいは研究調査の用に供し、東洋史研究に資してきた。ヨーロッパ旅行ではフランスの東洋学者アンリ・コルディエの旧蔵書5000点を購入している(慶應義塾大学寄託)。コレクションの恩恵を受けたのは研究者に留まらない。例えば梅原龍三郎の《唐美人図》(1950)は、護立が所蔵する《加彩舞伎俑》(唐代、8世紀)をモデルとしたもの。昭和4年に護立が購入した《金銀錯狩猟文鏡》(国宝。中国戦国時代、前4-3世紀)を納める蒔絵の箱を制作した漆芸の高野松山は、目白の細川邸内に住み「昼は殿さまのボディーガード、夜間は制作」を行なっていたという。そのほかの芸術家たちの作品にも護立のコレクションが影響を与えたことが示されている。どこまでが意図されたことなのかはわからないが、護立の蒐集は直接・間接に東洋学の研究を支援し、また芸術作品にも影響を与えたことになる。細川家に伝来する文化財や蒐集品を納めるために昭和25年に永青文庫を設立した護立は、昭和26年には東洋文庫の第7代理事長に就任している。[新川徳彦]

「マルコ・ポーロとシルクロード世界遺産の旅──西洋生まれの東洋学」(東洋文庫)へ続く]

2013/10/24(木)(SYNK)

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