artscapeレビュー

展覧会「サイネンショー」

2013年11月01日号

会期:2013/10/04~2013/10/19

MATSUO MEGUMI VOICE GALLERY pfs/w[京都府]

陶芸家の松井利夫を中心としたグループによる本展では、不要陶磁器を再び窯で焼成したやきものが多数展示されていた。ちなみに燃料も建築廃材を使用しており、本展の根幹に東日本大震災後顕著に語られるようになった現在の社会システムへの疑問があることは間違いない。筆者自身はその論には必ずしも首肯しかねる立場だが、出来上がった作品には興味を覚えた。それらの多くは変形・変色し、なかには溶けた釉薬が接着剤となって複数の器が結合した奇怪なオブジェもある。侘び茶を大成した千利休や、便器を芸術作品に転換したマルセル・デュシャンのように、既成概念を逆転するロジックをひねり出すことができれば、これら再生やきものにも明るい未来が広がるだろう。要はそのロジックがつくれるか否かだ。

2013/10/08(火)(小吹隆文)

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