artscapeレビュー
試写『氷の花火──山口小夜子』
2015年09月15日号
70年代にスーパーモデルとして活躍した山口小夜子のドキュメンタリー映画。86年を境に彼女はファッションモデルからパフォーミング・アーティストに軸足を移す。そのきっかけとなったのは、山本寛斎の証言によれば、彼自身の放ったセクハラまがいの言葉だったらしいが、映画のラストシーンにその寛斎のショーに出た最後の姿が映し出され、胸が詰まる。映画は生前のショーやCM映像、没後8年目に開封された数々の遺品、寛斎のほか高田賢三、ジャン=ポール・ゴルティエ、セルジュ・ルタンスらの証言などによって構成される。男の関係者の多くがゲイというのが、彼女の美の世界を物語っているように思える。
2015/08/06(木)(村田真)