2024年02月15日号
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artscapeレビュー

画鬼暁斎──幕末明治のスター絵師と弟子コンドル

2015年09月15日号

会期:2015/06/27~2015/09/06

三菱一号館美術館[東京都]

なぜ三菱一号館で暁斎の展覧会を開くのか、というのは会場に入ってみればわかる。三菱一号館(のオリジナル)を設計したジョサイア・コンドルが暁斎に弟子入りし、絵を学んでいたからだ(逆に暁斎はコンドルから西洋絵画について教わったという)。そのため展覧会の序盤は、コンドルによる建築の設計図や暁斎ゆずりの水墨画、日本研究の書籍なども出品され、まるで2人展。ところが中盤以降はおびただしい量の暁斎作品に圧倒され、結果的にコンドルは付け足しだったか、みたいな印象は否めない。もちろんコンドルが出ていたおかげで展覧会に厚みが増したのは事実で、とくにコンドル設計の上野博物館(東博の前身)の遠景図と、その上野博物館も描かれた暁斎の上野の山のパノラマ的錦絵との比較などは、同展ならではの芸当だ。それにしても暁斎はすごい。雪舟ばりの山水画から、鳥獣を描いた水墨画、モダンな舞台絵、風俗画、妖怪図、春画まであり、そのレパートリーの広さ、器用さが幸いして、暁斎を近代美術史の傍流に押しやることにもなったようだ。また、ひと回り下の“最後の浮世絵師”と呼ばれた小林清親に比べると、清親が近代的なモチーフとスタイルを浮世絵という形式に融合させたのに対し、暁斎は明治なかばまで生きたにもかかわらず絵は江戸のままだったことも、時代に埋もれた要因かもしれない。しかしこういう激動の時代を生きたマージナルなアーティストというのがいちばんおもしろい。

2015/08/28(金)(村田真)

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