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鎌倉からはじまった。1951-2016 PART2:1966-1984「発信する近代美術館」

2015年09月15日号

会期:2015/07/04~2015/10/04

神奈川県立近代美術館[神奈川県]

鎌近閉館までのカウントダウン第2弾は、1966-84年に紹介された所蔵作品の展示。70年の「エドワルド・ムンク展」をはじめ、「ペーテル・ブリューゲル版画展」「ジェームズ・アンソール展」「ピラネージ版画展」など、この時期いちばん鎌近に通ってたなあ。でもここに出品されるのは所蔵品だけなので、ムンクもアンソールもない。目立ったのは高橋由一から岸田劉生までの明治大正期の絵画で、なかでも本多錦吉郎《中禅寺湖夜景》、安藤仲太郎《日本の寺の内部》、中村不折《根岸御行松附近夜景》といった脂派の暗い油絵がよかったなあ。も少し後だと岸田劉生の《野童女》《童女図(麗子立像)》、関根正二の《村岡みんの肖像》《少年》、もっと時代を下ると、川端実《作品B》、杉全直《野草》あたりが見もの。今回はBankARTスクールの受講生たちと一緒だったので、版画を展示してる別館まで足を伸ばしたら、ブリューゲルとムンクの版画が1点ずつ出ていた。ところで鎌倉館が閉館したら、この別館はどうなるんだろう? わざわざここまで版画を見に来る人は少ないだろうし。

2015/08/08(土)(村田真)

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