2019年11月01日号
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artscapeレビュー

印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション展

2019年05月15日号

会期:2019/04/27~2019/06/30

Bunkamura ザ・ミュージアム[東京都]

スコットランド出身の海運王ウィリアム・バレル(1861-1958)が集めた美術品から、印象派のコレクションを中心に公開するもの。バレルは世代的にも業種的にも、国立西洋美術館の基礎を築いた「松方コレクション」の松方幸次郎に近いかもしれない。松方も西洋美術館が建つ前に亡くなったように、バレルの美術館が開館するのは死後4半世紀を経た1983年のこと。その2年後、グラスゴー郊外にあるバレル・コレクションを訪れた。緑豊かな公園に建つモダンな建築が話題になっていたため、スコットランド旅行のついでに寄ったもので、エントランスや内装に古い石造建築の断片をはめ込んで美術館の一部にしていたのが印象的だった。おそらく石造建築の断片もコレクションの一部なのだろうけど、それを建築に採り込むのは西洋人の発想だ。肝腎のコレクションはまったく覚えていない(笑)。

同展は「印象派への旅」となっているように、ドガ、ルノワール、セザンヌら印象派のど真ん中の作品もあるが、メインはコロー、ドーミエ、ドービニー、ファンタン・ラトゥール、シダネルといった印象派にいたる前、あるいはその周辺の作品が大半を占めている。だからおもしろいと見るか、つまらないと見るかが分かれ道だ。特に印象派とはひと味違ったブーダンやモンティセリの明るい風景画がかえって新鮮に映る。また、フランスとスコットランドの画家が多いのは当然として、ゴッホと縁の深かったアントン・モーヴをはじめ、なぜかボスボームやマリス兄弟らオランダの画家も多い。これは、バレルに作品を売っていた画商のアレクサンダー・リードが、一時パリでゴッホ兄弟と同居していたからだろう。そんな縁からか、パリ時代のゴッホによるリードの肖像画が最初の部屋に掲げられている。

2019/04/26(金)(村田真)

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