2019年07月15日号
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artscapeレビュー

3つのコレクション展をまわって

2019年05月15日号

20年以上が経ち、最近リニューアルを終えたり、これからリニューアルを行なう、1990年前後にオープンした近現代を扱う大型の 3つの美術館(東京、横浜、名古屋)において、それぞれに工夫を凝らし、コレクションを中心に時代の流れを振り返る展覧会がちょうど開催されている。現代美術も回顧される時期なのだろう。東京都現代美術館のリニューアル・オープン記念展「百年の編み手たち」とコレクション展示「ただいま / はじめまして」は、美術館が位置する木場の風景の変化、版画群、図書館の資料、一部の作家の蔵出し、を紹介し、圧巻のヴォリュームだった。前者は1910年代から現在までの美術史をたどるが、この作品群が一時的な企画展示ではなく、いつも常設で見ることができたら、強力な美術館になるのではないかと思う。また後者は新規購入や修復を終えた作品をとりあげる。もっとも、空間はさほど以前とは変わらず、長坂常が新しいサイン什器を担当していた。



リニューアルされた東京都現代美術館。長坂常が新しい什器を設計した


リニューアルされた東京都現代美術館


東京都現代美術館「百年の編み手たち」展示風景

東京都現代美術館「百年の編み手たち」展示風景

横浜美術館開館30周年記念の「Meet the Collection」展は、全展示室を使い、セクションごとに異なるゲスト・アーティストを迎え、その作品を設置し、展示室に色味を与えつつ、学芸員とともにコレクションを構成している。例えば、女を描いた日本画を並べた束芋の部屋、いつもの円形展示室の空間の雰囲気をがらりと変えた淺井裕介、今津景が試みた作品の対話、菅木志雄による空間への介入だ。ダイナミックなコレクションへの批評である。なお、過去の展示記録の年表を見ると、同館の建築展は1991年のフランク・ロイド・ライトのみで寂しい。


横浜美術館「Meet the Collection」より、淺井裕介のセクション


横浜美術館「Meet the Collection」より、今津景のセクション


横浜美術館「Meet the Collection」より、菅木志雄のセクション

愛知県美術館リニューアル・オープン記念である「アイチアートクロニクル展1919-2019」は、愛美社、サンサシオンからあいちトリエンナーレまで、愛知の分厚い近現代美術史を振り返る。櫃田伸也の多層的な空間の絵画、栗本百合子の建築空間に同化・異化する作品群が印象に残った。筆者が芸術監督をつとめたあいちトリエンナーレ2013で活躍したオカザえもん、山下拓也も入り、芸術祭の歴史化も痛感する。


□「百年の編み手たち─流動する日本の近現代美術─
MOTコレクション ただいま / はじめまして
会期:2019年3月29日(金)〜6月16日(日)
会場:東京都現代美術館


□「Meet the Collection─アートと人と、美術館
会期:2019年4月13日(土)〜6月23日(日)
会場:横浜美術館


□「アイチアートクロニクル 1919-2019
会期:2019年4月2日(火)〜6月23日(日)
会場:愛知県美術館


2019/04/20(土)(五十嵐太郎)

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