artscapeレビュー
カタログ&ブックス│2019年5月
2019年05月15日号
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
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視覚的無意識
モダニズムの眼が抑圧している欲望とはなにか?
エルンスト、デュシャン、ジャコメッティ、ベルメール、ピカソ、ポロックらの作品のなかに近代の視を土台から蝕むものたち(『レディメイド」、「肉体的なもの」、「不定形」、「脈動」、「低さ」、「水平性」、「重力」、「痕跡」……)を、フロイト、ラカン、バタイユらの理論を援用しながら見出す試み。モダニズムの中核をなす「視覚性」概念を、主体の精神分析を採り入れつつ批判的に分析する、現代最重要の美術批評家の主著、待望の日本語全訳。
原書: The Optical Unconscious, The MIT Press, 1993.
イメージ学の現在 ヴァールブルクから神経系イメージ学へ
ドイツ語圏を中心にイメージをめぐる現象の研究に新しい次元を開拓しているイメージ学の現在を、この分野のパイオニアや新進気鋭の研究者たちの論考によって一望し、比較美術史から写真・アニメーション研究、メディア論にいたる日本の論者たちの成果を集成するイメージ研究の最前。
Multiple Spirits マルスピ vol.2
Multiple Spirits(マルスピ)は、2018年に丸山美佳と遠藤麻衣によって始められた日本発の日英バイリンガルのクィア系アートZINEです。日本国内のアートや社会文化を含む、国際的なクィアのアートや言説など、様々な角度から芸術活動の紹介をします。社会内部に存在するあらゆるジェンダー、人種、階級の差別解体を視野にいれ、歴史的なフェミニズムの流れを汲みながら、異性愛を規範とする社会への違和感を指し示す言葉として「クィア」を暫定的に使っています。
『ナイトクルージング』ドキュメントブック
見えない監督の映画に、あなたは何を“観る”か? 生まれながらの全盲者の映画制作を追うドキュメンタリー映画のドキュメントブック。佐々木誠や田中みゆき、三宅唱などの寄稿文やスタッフコメントなどを掲載。
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2019年4月1日号artscapeキュレーターズノート|「見えない映像を観ることについて」──『ナイトクルージング』試写会レポート(田中みゆき)
HAPS 事業報告書 2018年度
東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の2019年度の活動をドキュメントしたアニュアルブック。一年間を通じて施設の内外で行なわれた多様なプロジェクトなどを豊富な写真とともに紹介。
ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校
【企画展概要から】
編集者にしてウィリアム・モリス研究家の小野二郎(1929-1982)が生涯を通して追い求めたテーマがユートピアの思想でした。弘文堂の編集者を経て、1960年には仲間と晶文社を設立、平野甲賀の装幀による本が出版社の顔となります。一方では明治大学教授として英文学を講じる教育者でもありました。晩年には飛騨高山の高山建築学校でモリスの思想を説き、そこに集った石山修武ら建築家に大きな影響を与えました。W・モリス、晶文社、高山建築学校の3部構成で小野二郎の“ユートピア”を探ります。
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2019年5月15日号オススメ展覧会|ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校
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2019/05/14(火)(artscape編集部)