artscapeレビュー
東松照明デジタル写真ワークショップ沖縄 実習生5人+2人展
2009年08月15日号
会期:2009/07/10~2009/07/24
おもろまち沖縄タイムス1階ギャラリー[沖縄県]
東松照明は、いま撮影からプリントまで完全にデジタルに移行してしまった。このあたりの徹底ぶりがいかにも彼らしいのだが、今年4月から「デジタル写真ワークショップ」というプロジェクトを開始した。単純にデジタルカメラやプリンターの使い方というだけではなく、「これまで60年間蓄積してきた写真のノウハウ」を新しい世代に伝えようという意欲的な試みである。29歳以下という条件を付けて募集したところ、30人あまりの応募があり、面接と作品審査を経て5人が残った。今回の展示はその卒業展にあたるもので、5人の実習生(新崎哲史、上原エリカ、新城昇子、堤義治、仲村ちはる)に加えて、同じ条件で個別に指導した2人の特別参加者(伊波リンダ絵美子、北上奈生子)の作品が展示されている。
2週間に一度、5回の授業をおこなうなかで徹底したのは、毎回100点のプリントを提出してもらうということだった。そこから東松と一緒に作品を絞り込んでいく。これは仕事を持っている受講生にとってはかなり過酷な条件だが、7人とも何とかクリアしたという。その過程で、作品を選択する目が確実についてきた様子がうかがえる。基本的には全員がスナップショットだが、それぞれが自分の「まなざし」を研ぎ澄まして、個性的なスタイルを作りあげつつある。特に新城昇子の「ゴーストフレンズ」や仲村ちはるの「うりずん」には、沖縄の地霊の促しによって撮影されたかのような生命感がみなぎっている。
なお東松は長崎美術館での個展「東松照明展 色相と肌触り 長崎」(2009年10月3日~11月29日)にあわせて、長崎でも「デジタル写真ワークショップ」を開催の予定という。このエネルギッシュな活動ぶりには敬服するしかない。
2009/07/22(水)(飯沢耕太郎)