artscapeレビュー
半熟目玉『どうくつ』
2009年08月15日号
会期:2009.07.11~2009.07.12
立体ギャラリー射手座[京都府]
川崎歩による演出、振付けのダンス上演。いでたちも動きもまったく異なるふたりの男が出口のない洞窟で空腹になってしまうという表現。小銭が詰まった靴下を両手に持つ男が、交互にチャリン、チャリンと床を打ちながら登場する最初の場面からインパクト大。ダンスには馴染みがないので、二人の動作から、物語やそれらが象徴するものを連想するのは難しい気がしていたが、小銭が途中でばらまかれて靴下がからっぽになってしまったり、ふたりのまったく異なる「空腹」の動作を見ていると、蠕動する胃腸と洞窟のイメージが同時に浮かんできて、いつのまにか「空腹」と「洞窟」が頭の中でリンクしていた。普段は絵画や立体、映像作品などが発表されているギャラリー空間だが、こんな夏休みの特別企画(?)もまた新鮮。8月30日(日)にも第二回目の公演が予定されている。記憶の回廊を踊りながら辿り、映像的に記憶の再生を試みるという『回廊』。振付け、演出、出演は川崎歩。ぜひまた見たい。
2009/07/11(土)(酒井千穂)