artscapeレビュー

N+スクール vol.13 青井哲人「台湾都市の解剖学~私のフィールドワークから~」

2009年08月15日号

会期:2009/07/25

南洋堂書店[東京都]

神田の南洋堂書店4階にあるN+(エヌプラス)ギャラリーにて、不定期で連続的にN+スクールというイベントが開催されている(一階の店舗内で開かれる場合もある)。最近は主に海外での活動経験がある建築関係者によってスライドレクチャーが行われている。定員30人程度の比較的小規模の会であり、レクチャラーと観客との距離が近いのが特徴である。2001年にはじまったもので、2007年からのシリーズでは、田路貴浩氏(京都大学)、南泰裕氏(国士舘大学)、樫原徹氏(デザイン・ヌーブ)、新宮岳氏(南洋堂書店)と筆者が企画側として参加している。この連続イベントを支えているのは南洋堂店主の荒田哲史氏であり、建築について幅広く考えることのできる良質な場が継続して生まれている。
第13回目は明治大学准教授の青井哲人氏による台湾研究のレクチャー。「台湾都市の解剖学~私のフィールドワークから~」と題されたもので、台湾をより広域のオーストロネシア語族の分布の中で捉えつつ、亭仔脚(ていしきゃく)をはじめとする台湾の都市建築要素の複雑な影響関係について紹介。また彰化という街の都市形態を自転車を使ってのフィールドワークと聞き込み調査によって追ったことにも触れた。都市が生き延びるためにそこに住む人間を使っているのではないかという、都市の形態を決定する主体が都市に移った、都市形象主義(アーバンモルフィズム)とも言うべき都市論の新たな仮説が斬新だった。

2009/07/25(土)(松田達)

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