2020年10月15日号
次回11月2日更新予定

artscapeレビュー

2015年06月15日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:声が聴かれる場をつくる──クリストフ・シュリンゲンジーフ作品/記録映画鑑賞会+パブリック・カンバセーション

会期:2015/07/20、2015/08/08、2015/9/27

アートエリアB1[大阪府]

映画、舞台演出、美術、テレビ、選挙運動など、多様なメディアと社会領域を横断する活動を行ない、2011年のヴェネチア・ビエンナーレでは、ドイツ館の構想半ばで逝去するも金獅子賞を受賞したクリストフ・シュリンゲンジーフ。多様な社会層の参加と議論の喚起によって成立する彼のアクション/パフォーマンス作品の記録映画を上映する試みが、〈声なき声、いたるところにかかわりの声、そして私の声〉芸術祭III PROJECT(8)「ドキュメンテーション/アーカイヴ」として企画されている。
今回上映されるのは、『友よ!友よ!友よ!』『失敗をチャンスに』『外国人よ、出ていけ!』『フリークスター3000』の4作品であり、鑑賞後にはファシリテーターの企画によって対話の場が設けられる。『失敗をチャンスに』は、シュリンゲンジーフが1998年のドイツ総選挙に向けて設立した政党「チャンス2000」の選挙運動のドキュメンタリーで、俳優、失業者、障害者らが国会議員候補となって、ドイツ全国で街頭演説を行なった。また、外国人排斥を掲げる極右党の政権入りを背景にした『外国人よ、出ていけ!』は、12人の「亡命希望者」をコンテナハウスに居住させ、内部の様子をネット中継し、「観客」の投票によって国外追放する外国人が1人ずつ選ばれていくという過激な仕立てのパフォーマンスの記録である。
「演劇」という虚構のフレームを用いて、社会に潜在する矛盾や差別意識をあぶり出すとともに変革の可能性を提示するシュリンゲンジーフ作品の記録上映を通して、パフォーマンスとドキュメンテーションのあり方のみならず、参加型芸術と現実社会の関係、社会の多声性をいかに拾い上げるか、民主主義、同質性と排除の力学などについて再考する機会になればと思う。

2015/05/31(日)(高嶋慈)

サンドラム 台北滞在報告会

会期:2015/05/31

BankARTスタジオNYK カフェ[神奈川県]

台北国際芸術村(TAV)とBankARTが相互に選んだアーティストを3カ月間ずつ交換するレジデンス・プログラムで、10回目の今回、日本からノリのいい音楽集団サンドラムが派遣された。報告会は、9人のメンバーがTAVにとどまらず台湾中をヒッチハイクで回ったりしたのでにぎやかだが、カエル食ったとかサル食ったとか、どこそこのオッサンは首狩り族だったとか内輪話が多く、なかなか先へ進まない。でもときおり披露してくれる現地で覚えた歌は、さすがに見事。楽譜もなく口承なのになんで何曲も覚えられるのか、音楽脳が欠如したぼくには不思議でならない。ちなみに歌詞はカタカナで書き取っていたようだが、メンバーによって表記が異なっているのがおもしろい。

2015/05/31(日)(村田真)

カタログ&ブックス│2015年06月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

小泉明郎 捕われた声は静寂の夢を見る

企画・編集:住友文彦+吉田成志[アーツ前橋]
執筆:ルディ・フックス、小泉明郎、マヌエル・サイス、住友文彦
アートディレクション:亀井伸二
デザイン:亀井伸二+原純子[W.O.DESIGN]
発行:現代企画室
発行日:2015年5月20日
価格:2,000円(税別)
サイズ:B5判変形、96ページ、並製

声にならない声。意識の下に眠る感情。私たちの身体と精神はどのようにして〈人間〉を形作っているのか。独自の映像表現によって〈人間〉の営みを捉え、世界から熱い注目を集めるアーティスト、小泉明郎。アーツ前橋で開催された、小泉の初期作品から近作までを一望する初の本格的個展の図録。[出版社サイトより]

広場 Hiroba:All about “Public spaces” in Japan

監修:隈研吾、陣内秀信
写真:鈴木知之
英訳:アルフレッド・バーンバウム、牧尾晴喜
ブックデザイン:鈴木正道
発行所:淡交社
発行日:2015年4月4日
価格:2,700円(税別)
サイズ:B5判、168頁

隈研吾をはじめとする先鋭のクリエイターの手による独自的な「現代の広場」、また意図を超え、自然に人が集まる「想定外の広場」など様々な事例を紹介、よりよい街・場の作り方、街のつかいかたの一案を提示します。[出版社サイトより]

幻燈スライドの博物誌 プロジェクション・メディアの考古学

編:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
編著:土屋紳一、大久保遼、遠藤みゆき
発行:青弓社
発行日:2015年3月30日
価格:2,400円(税別)
サイズ:A5判、184ページ、並製

早稲田大学演劇博物館が所蔵する写し絵や幻燈のスライドコレクション3,000点のアーカイブ「幻燈データベース」のなかから厳選した350点を所収。2015年4月1日~8月2日に開催中の「幻燈展――プロジェクション・メディアの考古学」と連動している。

アイデア No.370 特集|思想とデザイン

企画・デザイン:ラボラトリーズ
アートディレクション:加藤賢策(ラボラトリーズ)
構成:ラボラトリーズ+アイデア
発行:誠文堂新光社
発行日:2015年6月10日
価格:2,829円(税別)
サイズ:29.4 x 22.4 x 1.3 cm

思想を人に伝えるためには、なんらかの素材や形に定着させなければならない。したがって思想は無形のものとしては存在しえず、インターフェイスとしての書物とそのデザインに大きく規定されてきた。またメディアの広がりとともに、思想は活字ではなく音や図像も含めた空間のなかに展開されるようになってきた。時代と共に移り変わってきた思想とデザインの関係に、気鋭の若手研究者、評論家とともに切り込む特集。企画とアートディレクションは、現在、美術・建築・人文系をはじめとする幅広い領域で活躍するデザイナー・加藤賢策(ラボラトリーズ)が担当。[出版社サイトより]

2015/06/12(金)(artscape編集部)

2015年06月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ