2017年12月15日号
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artscapeレビュー

会田誠──天才でごめんなさい

2012年12月15日号

会期:2012/11/17~2012/03/31

森美術館[東京都]

会田は自分の立ち位置を正確に把握し、その位置から期待どおりの鬼畜作品を供給し続けることができる希有なアーティストだ。そこが彼の天才たるゆえんだろう。実は「期待どおり」というのはきわめて難しいことで、つねに期待を少し上回っていなければならない。なぜなら本当に「期待どおり」であれば、それはあらかじめ想像可能な範囲に収まってしまい、つまり「予想どおり」にすぎないからだ。したがって「期待どおり」とはつねに期待を裏切っていなければならないのだ。今回の会田の個展は約20年におよぶ画業の回顧展といっていいもので、初期の《あぜ道》から《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》《スペース・ウンコ》《ジューサーミキサー》《滝の絵》《灰色の山》まで、出品作品の大半は見覚えのあるものばかり。その意味では(残念ながら)期待どおりによかった。初めて見る最新作《ジャンブル・オブ・100フラワーズ》も期待を裏切らない大作だし、「18禁部屋」もしつこいけど期待どおり。観客を裏切ってくれないのだ。ところで展覧会の可否はただの作品総体で決まるわけではなく、作品相互の相乗効果(ときに相殺効果)や開催時期、美術館や観客との相性などによっても左右されるはず。しかしここでも会田展は踏み外すことなく、妙な言い方だが予想以上に期待どおりだった。とくに森美術館とは相性がいいのか悪いのか、あらゆる作品が「作品然」として収まってしまっていた。かつての映画のタイトルをもじれば、この展覧会は会田以上でも以下でもない「=(イコール)会田誠」といえる。観客も会田自身も、それで満足するかしないかだ。

2012/11/19(月)(村田真)

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