2017年08月01日号
次回9月1日更新予定

artscapeレビュー

奈良・町家の芸術祭 HANARART 2012

2012年12月15日号

twitterでつぶやく

会期:2012/11/01~2012/11/11

郡山城下町・旧川本邸[奈良県]

2011年に開催された「奈良・町家の芸術祭 HANARART」の2回目。こちらも歴史のある古い町家や町並みを舞台にしたアートイベントだが、町家などを会場にした展覧会は、公募で選出されたキュレーターたちが現地に何度も足を運び、アーティストや地域住民とともにつくり上げるという点がユニーク。今回は11人のキュレーターが選ばれ、奈良県内6エリアの15会場でそれぞれ企画イベントが行なわれた。大和郡山市にある、大正13年から昭和33年まで遊郭として使われていた木造3階建ての建物(旧川本邸)で開催されていたのは山中俊広のキュレーションによる展覧会。直接的なイメージや具象的な表現を極力避け、抽象的表現やその色彩から、歴史が刻まれたこの特異な空間の「記憶」や物語についての鑑賞者の想像を喚起したいと構成された会場。展示されたのは野田万里子、加賀城健、岡本啓、中島麦、前谷康太郎の5名の作家の作品。中庭に垂下がった加賀城健の薄い染色作品、髪結場に展示された中島麦のペインティング、玄関と浴室、二階の格子の窓辺が使われた野田万里子のインスタレーション作品など、各アーティストの作品展示は、どれも印象を引き摺って揺さぶられるものばかりだった。遊郭という歴史のあるこの建物での展示はキュレーターにとっても作家達にとっても難しいものだっただろう。しかし、キュレーターの意向に応えるアーティストたちの力量も感じた展覧会。見応えのある良い内容だった。


左=加賀城健《刹那》
右=野田万里子《Locked them in the glass》

2012/11/11(日)(酒井千穂)

▲ページの先頭へ

2012年12月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ