2017年12月15日号
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artscapeレビュー

気仙沼

2012年12月15日号

[宮城県]

仙台から気仙沼へ。昨年3月末にまわったときの風景を思い浮かべながら、港の周辺を歩く。黒こげになった街はなくなっていたが、所有者が不明か解体できない、あるいは解体しない建物がぱらぱらと残る。逆説的だが、あまりの惨状ゆえに、今やまっさらに片付けられた女川とは対照的だった。また地盤沈下のため、道路のかさ上げが半端でない。リアスアーク美術館にて、あいちトリエンナーレ2013の参加に関する打ち合わせを行なう。ここも昨年3月下旬、家を失った学芸員の山内宏泰さんがまだ美術館に住み込んでいる状態のときに訪れた。当時は閉鎖されていたが、美術館はすでに再開している。現在、来年オープンする震災の常設展を準備中だった。津波で襲われた街から収集した被災物のコレクションを見せていただく。大きな被災物は津波の破壊力を科学的に説明するが、小さなモノは生活の記憶を物語る。とくに汚れたぬいぐるみには、重油の匂いが残っており、直後の被災地で強く感じた嗅覚から、あのときの生々しい記憶がよみがえる。

写真:上=気仙沼市街、下=収集された被災物

2012/11/07(水)(五十嵐太郎)

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