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建築の際シンポジウム「映画、建築、記憶」

2012年12月15日号

会期:2012/11/17

東京大学情報学環・福武ホール地下2階 福武ラーニングシアター[東京都]

「建築の際」シンポジウムに際して、諏訪敦彦監督の『H STORY』(2001年公開)とアラン・レネの『二十四時間の情事』(1959年6月公開)を久しぶりに見る。後者は当時の広島平和記念資料館の展示の様子がわかって興味深い。前者はラストの原爆ドーム内からのショットが印象的で、『不完全なふたり』と同様、開口=フレームが多くを物語る。シンポジウムでは講師を呼んで終わりではなく、4名の学生が問題提起を行ない、2部にわたって「映画、建築、記憶」をめぐる討議を展開した。射程は3.11後に及ぶ。諏訪がすべてを決定する主体としての監督ではないことがわる。また懇親会では、奥様も制作の過程で重要な役割を果たしていたことを知る。

2012/11/17(月)(五十嵐太郎)

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