2018年10月15日号
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artscapeレビュー

アートとリサーチ

2016年04月15日号

会期:2016/03/15~2016/03/29

札幌市資料館 SIAFラボ プロジェクトルーム[北海道]

今日のお仕事は、北海道をテーマにしたワークショップの講評会。明日アーティストの島袋道浩とトークを行なうのだが、どうせだからということで、島袋くんが講師をしているこのワークショップの講評会にも参加することになった。このワークショップは、参加者がそれぞれテーマを設定して北海道をリサーチし(北海道を旅しながらテーマを固めていくといったほうが正確か)、その過程をウェブ上にアーカイヴしていき、最後に展示と講評会を行なうというもの。参加者は11人(女性が8人)で、みんな40歳以下。島袋くんが選んだだけあって、いわゆるプレゼン慣れしたアーティストっぽい人は少なく、ひとクセもふたクセもありそうな若者が集まった。ユニークなのは一人5万円ずつ与えられ、自由に使っていいこと。大半は道内の移動に使われたようだが、このように財源に余裕があるのは、2年前から始まったSIAF(札幌国際芸術祭)効果らしい。プレゼンでは2、3おもしろいのがあった。佐藤拓実は「夷酋列像」などに描かれるアイヌ人の着物が左前であることに気づき、いろいろなアイヌ像をリサーチ。それとは別に、富士山と羊蹄山(蝦夷富士と呼ばれるが、高さは2分の1)の同じ高さのモデルをロールペーパーでつくった。阿児つばさは音威子府に赴き、かつて凍った川の氷を切って向こう岸に渡して橋として使ったという「氷橋」をリサーチし、現代に蘇らせようとする。どちらも役に立たないどうでもいいような事象に着目した点で、まずは合格。もうひとり、新谷健太は幼いころに生き別れた父に会うため道内を旅し、なんと「再会」というスナックで再会したというウソみたいなストーリー。運賃やスナック再会の領収書、写真などをなぜか二重窓のあいだに挟み込むといういじけた展示もすばらしい。彼は5万円の公費を使って極私的な用件を済ませたわけで、ある意味このワークショップをもっとも有効活用したってわけ。

2016/03/26(土)(村田真)

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