2017年08月01日号
次回9月1日更新予定

artscapeレビュー

2017年04月15日号のレビュー/プレビュー

マティスとルオー展 ─手紙が明かす二人の秘密─

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会期:2017/01/14~2017/03/26

パナソニック 汐留ミュージアム[東京都]

近刊の『マティスとルオー 友情の手紙』(みすず書房)でも示されたように、ともにギュスタブ・モローの弟子であり、生涯交流を続けた2人の軌跡をパラレルに紹介した企画。一見作風がだいぶ違う画家だが、意外な接点を持っていたことを知る。ただ、やはり若き日のルオーは象徴主義、マティスは印象派の影響を受け、その後に各自の個性を存分に発揮している。

2017/03/13(月)(五十嵐太郎)

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吉岡徳仁 スペクトル ─ プリズムから放たれる虹の光線

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会期:2017/01/13~2017/03/26

資生堂ギャラリー[東京都]

同じ天高ながら大小の部屋が斜めに接続する個性的(?)な空間の特質を活かし、スペクトルの光によるインスタレーションを展開するなど、さすがの演出だった。過去作の映像も、余計な説明なしにヴィジュアルだけでほとんどわかる鮮やかなデザインが続く。ただ、一連の作品のなかで、ガラスの茶室だけはどうしてもキッチュに思え、茶室の本質と違うのではないか。

2017/03/13(月)(五十嵐太郎)

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奈良原一高「華麗なる闇 漆黒の時間(とき)」

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会期:2017/03/10~2017/04/24

キヤノンギャラリーS[東京都]

長期の入院が続く奈良原一高だが、奈良原一高アーカイブズ(代表・奈良原恵子)の手によって、出版や展覧会の企画が相次いでいる。写真と文章の代表作を集成した『太陽の肖像』(白水社、2016)に続いて、東京・品川のキヤノンギャラリーSでは「華麗なる闇 漆黒の時間(とき)」展が開催された。1965年に初めて訪れて以来、その魅力に取り憑かれて80年代まで撮影し続けた「ヴェネツィアの夜」のシリーズと、1960年代初頭のヨーロッパ長期滞在から帰国後に、日本の伝統文化をむしろエキゾチックな視点で捉え直した意欲作「ジャパネスク」(「刀」、「能」、「禅」の3シリーズ)をカップリングした展示である。
長年にわたって奈良原とコンビを組んできたグラフィック・デザイナー、勝井三雄が手掛けた会場構成(作品セレクトも)が素晴らしい。オリジナル・プリントからスキャニングしたというモノクローム印画を、通常よりやや高めに展示することで、シンプルだが力強い視覚的な効果を生み出していた。サン・マルコ広場に面する店の窓の灯りを捉えた連作は、小部屋の仕切りの中に封じ込めるように並べ、アルミフレームの縁の部分は目立たないように黒く塗るなど、展示全体に細やかな配慮がなされている。明確な展示プランによって、もともと奈良原の写真に内在していた「闇」への志向性を引き出した、クオリティの高いインスタレーションとして成立していた。島根県立美術館の「手のなかの空──奈良原一高1954-2004」(2010)に続く、本格的な回顧展も、そろそろ企画されていい時期だろう。それとともに、雑誌掲載の作品などをもう一度洗い直した「全作品集」の刊行も期待したい。

2017/03/15(水)(飯沢耕太郎)

椎原治 展

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会期:2017/03/04~2017/03/26

MEM[東京都]

椎原治(1905-1974)の1930~40年代の仕事に、再び注目が集まりつつある。2016年にはモスクワのマルチメディア美術館やパリ・フォトで作品が展示され、ドイツではONLY PHOTOGRAPHYシリーズの一冊として『OSAMU SHIIHARA』が出版された。今回のMEMでの展示は、ずっと兵庫県立近代美術館に寄託されたままになっていた300点余のプリントから、息子のアーティスト、椎原保がセレクトした31点によるものである。
椎原は、大阪の丹平写真倶楽部に入会して写真作品を本格的に制作・発表するようになる前は、画家として活動していた。東京美術学校で藤島武二に師事した(1932年卒業)という経歴はかなり特異なものだ。そのためか、同じ丹平写真倶楽部に属する安井仲治、上田備山、平井輝七、河野徹らのシュルレアリスムの影響を取り入れた「前衛写真」が、どこか付け焼き刃的な印象なのに対し、椎原の作品は絵画と写真の両方の領域を無理なく、自在に行き来しているように見える。彼が得意にしていた、ガラス板に直接油彩絵を描いて、印画紙に焼き付けた「フォト・パンチュール」(写真絵)の手法など、まさに画家としての素養が活かされたものといえる。
それに加えて、今回の展示で特に気になったのは、女性ポートレートやヌードに対する、彼のやや過剰なまでの執着である。残念なことに、1940年代になると戦時体制がより強化され、そのような写真は撮影も発表もむずかしくなってくる。短い期間ではあったが、その濃密で耽美的なエロスの追求は特筆に値するだろう。今回のセレクションには、街のスナップや風景など、これまであまり取り上げられなかったテーマの作品も含まれている。あらためて、椎原治という写真家の全体像を概観できる、より大きな規模の展覧会の開催が必要であると感じた。

2017/03/15(水)(飯沢耕太郎)

ミュシャ展

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会期:2017/03/08~2017/06/05

国立新美術館[東京都]

なんと言っても目玉のスラブ叙事詩全20作の国外初展示が圧巻だった。新国立美術館の天井高をフルに活かし、6m×8mの巨大絵画群が並ぶ。若い頃、アカデミーに入れず、かわいい女性の絵のポスターで人気を博したサブカルチャー的な出自のミュシャが、スラブ民族主義に目覚めた渾身の大作である。そして、彼は国民的な作家となった。

2017/03/15(水)(五十嵐太郎)

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