artscapeレビュー
日本のアニメーション美術の創造者:山本二三展
2011年09月01日号
会期:2011/07/16~2011/09/25
神戸市立博物館[兵庫県]
アニメーション美術監督・背景画家の山本二三(1953- )の回顧展。初期作品から近作までの背景画180点を展示中だ。背景画とは、アニメーションに登場するキャラクター以外の、すべてのバック絵のこと。「スタジオジブリ・レイアウト展」や「ディズニー・アート展」など、制作会社や作品そのものに関する展示はしばしば目にすることができるが、背景画だけの展示はまだ珍しく、正直なところ原画展とも、絵画展とも、デザイン展とも、その区別は難しい。山本が描いた、名もない「風景」が観客を迎えるだけ。だが、その風景は観客を惹きつけてやまない。作品への記憶のためなのか、優れた描画能力のためなのかはわからない。それは人それぞれだろうから。
「風景とはすべてのものを主役にするだけの特化さえも拒む価値です(…中略…)多くの人が山本作品に引き込まれ、それぞれの物語を覚え、脳裏に焼き付けるのでしょう。描かれた風景が地となり背景となる時、私たちの記憶は初めて心のどこかに現れてくるのですから」(展覧会図録より)[金相美]
2011/07/26(火)(SYNK)